好きなモノは何かと問われてもすぐには思い浮かばない。やりたいことは何と聞かれても答えに窮する。むしろ、嫌いなもの、やりたくないことなら案外返答しやすい。
最近では流石にないが、それでも時々ゴルフはやるのかと聞かれる。商売の上でも、ゴルフコースでの会話がとても有益な展開に繋がると。だから、(数年前までは)いまからでも遅くはないからやってみてはと、先輩や知人から誘われたことも一度や二度ではない。その度に、「若いころ2、3回トライしてみたのですが、どうも性に合わず、それ以来ゴルフのたしなみがなくて・・・」とお応する。幸い、僕に声をかけてくれるゴルフ好きには、それ以上無用な無理強いをするような野暮はひとりもいない。
20代や30代のころであれば、あれやこれやと、いろいろ試してみることもあると思う。しかし、いまやそれほど多くのことはできない。だから限りある時間と、手持ちのエネルギーの使い方を考えてみる。そして導かれたアンサーは、人生には好き嫌いとそれに伴う優先順位を決めることが必要だと知った。
優先順位を決めるということは、少し乱暴なもの言いになるが、「みんなにいい顔をすることはできない」ということだ。もし仮に、みんなにいい顔をするための人生を送るとどうなるか。間違いなく、自分以外のなにかに振り回される一生になるだろう。
例えば、10人にプレゼンし、10人全員に気に入られるように振る舞うことはできない。僕はそれほど器用ではないし、そんな力も技もない。でも、腹を割り、お互いに理解し、相思相愛の仲で仕事ができるお客様や仲間は10人のなかの1人か2人は必ずいる。であれば、その人ととことん付き合えばいい。経験として実際に何かが動くときは、たった一人の人が強力に押したときに起こることが多かった。
余暇の時間の使い方もそうだ。泳ぎ・自転車を漕ぎ・走る。僕の趣味、トライアスロンのレースのスタートラインに立つためには、トレーニングにとことん集中する時間が必要だ。そして練習後、家でうまい飯を用意してくれる妻の手料理を食うための時間も。
嫌なことややりたくないことをハッキリさせたら、好きなこととやりたいことがスッキリと見えてきた。もはや、時間も体力もお金も限られ、そう多くのことはできない。だからこそ、やりたいことについての明確な指針を掲げ、辛抱強く、そして楽しく貫きたい。