2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの研究発表によれば、幸せには長続きしない幸せと、長続きする幸せがあるという。長続きしない幸せは、お金やモノ、そして地位など、人と比べる「地位財」と言われるものだ。
この「地位財」は、収入に比例して幸福度が増すが、ある一定の水準までいくと上昇しなくなる。つまり、経済的な豊かさは、必ずしも幸せをもたらすわけではないという。一方、長続きする幸せは自由や愛情、社会への帰属意識などによる「非地位財」と言われるものである。環境に恵まれているとか、健康であるなど心の要因によって得られる幸せのことだと言及している。
僕は、健康維持のためにトライアスロンを趣味にしている。そのために、日常生活に取り入れていることがある。それは「筋トレ」である。一生動ける身体を維持するには、筋トレは欠かせない要素である。さて、皆さんは「人生ラスト10年問題」をご存知だろうか。これは、僕と同世代のトライアスロン仲間から聴いた話のうけうりである。
人生終焉までの10年間に起きる問題とはなにか?
まず歩けなくなり、次に食べられなくなる。そして認知できなくなる。老いを重ねると、多くの人はこの順番に衰える。では、この流れを食い止めるために最も有効な方法はなにか?その答えは、筋肉量を減らさないことだという。筋肉量が多ければ、歩けなくなることが防げる。さらに、骨を動かす筋肉である骨格筋を維持することで(食べたり飲んだりする)舌の筋肉を支える。歩き続けることが、食べ続けることにつながり、さらに認知症の予防にもつながるという。
ちなみに、「ラスト10年問題」に直面している高齢者の介護保険費と、後期高齢者の筋肉の減少量から、筋肉が100グラム減ると介護保険費がいくらかかるかを試算したデータがある。75歳男性で100グラムの筋肉は約16.5万円に相当し、75歳女性では約21.4万円になるという。人形町今半の超高級和牛肉でも、ここまで高くはない。
あらためて、思う。人生の後半戦、なにをもってリッチ(自分が自由になること)というのかを自問自答した。そして、あえて順番をつけてみた。
1.ほぼ、痛みや動きにくさから開放された健康リッチ。2.雑事に追われることなく、自分の行動が不当に阻止されない時間リッチ。3.数は少なくても、居心地よく許しあえる仲間たちとの友人リッチ。4.小さいけれど、やりたいことの妨げにならない程度のお金リッチ。
概ねこんな順になった。さて、これからも貯金ならぬ貯筋に励み、1回でも多くトライアスロンを完走できる身体を維持したい。
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いよいよ来週からGWに突入します。ファンサイト通信も5月2日(金)と5月9日(金)の2回、お休みさせていただきます。次号開始は、5月16日(金)からの配信予定です。
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