第398回「幸福度世界一の国」デンマークレポート⑤

スタディツアーもいよいよ後半、4日目にはロラン島を離れて首都コペンハーゲンへ出発です。

早朝にもう一度ホテルの前にあるロラン湖を妻と散歩し、美しい風景に別れを告げます。
すっかりロラン島のファンになってしまった私らは、名残を惜しみつつ電車へ。
大きな大きな気づきを与えてくれたロラン島、ありがとう!

出発前の朝ロラン湖にて。老夫婦が優雅にお茶を飲んでいた。
出発日朝のロラン湖。老夫婦が優雅にお茶を飲んでいた。

さて、コペンハーゲンについて私らがまず向かったのは、「フリータウン クリスチャニア」です。

入り口。
クリスチャニアの入り口。

ここは首都のど真ん中にあり、1971年までデンマーク軍の駐屯地だったのですが、軍の撤収後、塀と川に囲まれた広大な34ヘクタールの敷地に当時のヒッピー達が移り住み、自分らのルールを決めて自治区となったところ。

言うなれば渋谷のど真ん中、代々木公園に人々が集まり、ひとつの独立したエリアをつくり、ルールを作って暮らしているようなもの。
日本でもしこんなことをやろうとしたら、お役所や警察はもちろん、そこに入らない人の大ブーイングが起きてしまうでしょう。
「国が違うんだから当たり前」と言ってしまえばそれまでですが、それがなぜ可能なのか、そもそもどういう意味なのか、不思議な気分でここを訪れることになりました。

ここでは現在、約900人が思い思いの廃材を使った家を建て暮らしながら、世界中からも観光客が集まるデンマーク随一の観光スポット。

住民は税金も政府に納め、国民としての権利や社会福祉政策などを享受しながらも、ここ独自の法律で自治を行い、またそれをデンマーク政府も規制しすぎずに成立しているという、大変特殊な場所なのです。

クリスチャニアの国旗。
クリスチャニアの「国旗」。
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可愛らしい家。

その法律は例えば「犬を繋いではいけない」「車乗入れ禁止」「暴力禁止」「ハードドラッグ禁止」「落書きOK」「武器の携帯禁止」など、ヒッピーたちの平和的な共同生活を現代社会にアレンジしたユニークなもの。

クリスチャニアバイク。
クリスチャニアバイク。
乗馬をする姉妹。
乗馬をする姉妹がいたかと思えば・・・
おまわりさんも見廻り。感じ良いです。
おまわりさんも見廻り。でも感じ良いです。

中では住民の小さな姉妹が乗馬をしながら通り過ぎたり、前に大きなかごをつけた三輪自転車(この形はここで生まれたらしく、クリスチャニア・バイクと呼ばれているそう)で親子が走っていたり。

はたまた外に出されたベンチに、観光客はじめ人々が腰掛け、ビールや珈琲を飲んだりしてワイワイとくつろいでいます。
しばらく滞在しているうちに、私たちはなんとも言えないゆったりとした気分に包まれていました。

ここからはEUの入り口です。皮肉も入っている。
「ここからはEUの入り口です」皮肉も入っている。

「ここはデンマーク人がその存在に敬意を払い、誇りに思っている場所なんです。」とニールセンさん。

フリータウン クリスチャニア。

デンマーク人の懐の深さ、成熟度の高さが織りなす、優しく、明るく、安全で平和な「地上の楽園」が、そこには確かにありました。

(一部写真:なかいがくさん・追分日向子さん)

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