ゴールデンウィークのさなか、上野の東京国立博物館で開催中の「国宝阿修羅展」に行こうと準備していた。
たまたま付けたテレビに、その展覧会の模様が流れた。あまりの人混みに怖じ気づいた。
これでは、阿修羅像を観に行って、結果、人様の後頭部ばかりを拝むことになるのではないかと思い、上野行きは断念した。
さて、では何処に行こうかしら。
いつ行っても、それなりに満足でき、それほどの人混みにも遭遇せずに鑑賞できる美術館。
答えはすぐに見つかった。
僕の答えは、ブリヂストン美術館である。
小振りだが、セザンヌ、マティス、マネなど印象派の作品コレクションでは日本で最も充実した美術館ではないか。
入場券を買い、受付からエレベータで2階に上がり、会場に入る。
人混みも厭だが、あまりに少ないのも寂しい。
思った通り、多くもなく少なくもない、程よい数だ。
この日は『マティスの時代』(7月5日まで)が開催されていた。
しかもラッキーなことに、会場に入ってすぐ、ブリヂストン美術館のキュレータ、塩島明美さんの解説が始まった。
音声ガイド(最近はプロのナレーターが語り、且つ、音楽付きできちんと演出されているものも多い)による解説を聴くのも楽しいが、実際に、この企画をしたご本人が、自らの意図も交えながらの解説に、ただ作品を楽しむだけではない妙味を感じた。
何度も訪れている美術館ではあるが、まったく違った印象を持った。
そして、リピーターとして、繰り返し訪れることでわかってくる楽しみがあることにも気付いた。