最近、定年退職の近づいた友人から再就職の相談を受けることが多い。
曲がりなりにも、会社を経営しているのだから、それなりのコネや繋がりがあるだろうと思ってのことのようだ。
組織内での調整、予算獲得のための準備、企画の作成等々、それなりの組織でしっかりと成果を残すことは並大抵のことではない。
30年以上にも渉ってその難事業を営々と遂行してきたのだ。
そして、いよいよ定年が近づいたある日、ふと不安が過る。
これから先どうやって生きて行けばよいのか、と。
勿論、退職金も年金もそれなりに支給され、持ち家もある。
若い世代に申し訳ないほどに恵まれている友人たちである。
しかし、まだまだ現役から退きたくないし、お金も稼ぎたい。
そして出来れば、これまでのように会社から与えられた仕事ではなく、自分を発揮できることに参加してみたいとも言う。
つまり、生き甲斐を探したいと言うのだ。
友人だからはっきりと助言する。
定年後に人生の目的を探すということは、ことば遊びにすぎない。
定年まで探せなかったものが、定年になり暇ができたからといって探せるはずがない。
それでも、探そうとすればどうなるか。
経験からいえば、大概、地獄に堕ちる。
自分も定年の年齢に近づき、わかってきたことがある。
これまでのように自動更新できる人生ではなく、1年か2年ごとの更新でしか、生きられないと思うことだ。
そう腹を括れば、いまやるべきことが見えてくる。
そして、人生が濃く、さらに面白くもなる。