先週、夢の扉を開けようとしている男に会いに行った。
長崎県五島列島、小値賀(おぢか)島。
面積12.22km²、人口2942人。
漁業と農業以外、主な産業はない。
高齢化は長崎県で最も高く、しかも、毎年100人上の人々が島から出て行く。
高齢化と過疎化が進む典型的な町である。
この町で昨年、1億円の売り上げを稼いだ男がいる。
男の名は、高砂樹史 44歳。
現在、NPO法人 おぢかアイランドツーリズム協会、専務理事である。
この、何も無い島に1万人もの人を集客した。
もともと、高砂氏はこの島の出身ではない。
京都の大学を出た後、劇団わらび座のメンバーとして活動していた。
5年前、この地で子育てをすると決め、家族と島に移り住んだ。
住みはじめて、気が付いたのが過疎化の問題。
このままでは、終の住処と決めた町が崩壊する。
この事態を回避するにはどうしたら良いか?
全ては、ここから始まった。
彼は何をしたか。
体験学習というカタチで、福岡や東京・大阪からの修学旅行を誘致した。
だが、島にあるホテルや旅館の数は限られている。
高砂氏は考えた。
子供たちに、島の人々の家で宿泊してもらう。
漁師の家では、魚をさばき、農家では、野菜の収穫を手伝い、獲れたもので食事の支度をし、みんなで食卓を囲む。
こうしたふれあいが心に響き、遺る。
「また、小値賀島に行ってみたい」と、子供たちや先生に評判となった。
これを、「民泊」と名付けた。
そしていま、この成功を次へと繋ぐプロジェクトが、始動している。
それは、古い民家を宿泊施設やレストランとして再生し、あらたな集客と、雇用を生み出そうとしている。
夜、高砂氏と酒を飲み、島の料理を喰らい、想いを聞いた。
彼の野武士のような無骨な面構えと屈強な体躯からは、想像もつかない笑顔にやられ、ファンになった。
「andparty」に参加しているお料理の先生(マイスター)と、その生徒(ファン)の方々とともに、夢の扉を開ける後押しをしてみたいと思った。