【銀杏BOYZのポスター】
小学校4年の時、全国一斉IQテストを受けた。
ボクらの学年でトップになった(個人情報もなにもなかったころの話し
である)のは、隣のクラスのT君だった。
ちょっとした事件だった。
T君・・・その子だれ?
大げさではなく、彼の存在はそれまでほとんど目立つことがなかった。
しかし、このIQテスト以降、彼の存在感はグングンと増した。
久々にハマったドラマがある。
いまでも時々、録画した映像を再生し(その度に感激して)観ている。
2016年4月24日(日)夜10時、NHKBSプレミアムで放送された(8回連続)
ドラマ『奇跡の人』。
峯田和伸?
だれ?
ボクの知らない俳優が、主役として演じていた。
後で知ったことだが、峯田和伸は現在ロックバンド銀杏BOYZとして活動
(最近、彼のライブにも行き、カリスマ性のある佇まいに改めて感動し
た。そして秋の武道館公演も行く予定)している。
彼のなにが凄いのか?
なぜこのドラマに引き込まれたのか?
それは、この峯田和伸の目の輝きだ。
ドラマの進行と同時に、彼の目の輝きが画面を通して変化していくのが
手に取るように分かった。
どんなに表情を作っても、化粧をしても、言葉をつくしても、そこに心
がなければ、真実がなければ、目が輝くことはない。
たしかに、役者として演じているのだが、彼はまさしく本気で心で身体
を動かしている。
峯田和伸が演じる主人公のダメ男・亀持一択。
一択が恋する美しく哀しい女性・鶴里花には麻生久美子。
目と耳に障害のある娘・鶴里海役は、『マッサン』でエリーの長女を演
じた子役・住田萌乃。
そして、3人を厳しくもあたたかく見守るアパートの大家・都倉風子を
宮本信子が演じ、さらに一択の祖母に白石加代子を配している。
それにしても、凄いキャスティングである。
さらに、重いハンデキャップを克服したヘレン・ケラーと、彼女に光を
与えた「奇跡の人」サリバン先生の実話をヒントにこのヒューマンドラ
マを脚本したのは、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』(ここでも、
鈴ふり亭の女将役宮本信子、アパートの大家役で白石加代子、みね子の
叔父さん役で峯田和伸が出演している)、映画『世界から猫が消えたな
ら』などで知られる名手、岡田惠和。
ドラマを見続けているうちに、「バカ」も捨てたもんじゃない!と思え
てくる。
峯田演じる「バカ」な一択がとんでもなくかっこイイ男に見えてくる。
ひょっとしたらこの「バカ」が奇跡を起こすかも知れない!
人は、何歳になろうが輝くことが出来る。
それは、結果ではなくそのプロセス、つまりやっていることに集中し、
希望を持って一所懸命やる。
それを生きることの真ん中に据えること。
そんな元気と勇気をもらえるドラマが『奇跡の人』だ。