第808号『外は雪だから』

【Silky snow time】

連休だが、早起きした。

先週は忙しかった。
打ち合わせ、撮影、プレゼンテーションと仕事がフル
コースで詰まっていた。
結果として、領収書の処理や、見積書の作成などの事
務作業が溜まった。

仕事を片付けるには、電話も来客もない、こんな休日
が最適だ。
午前中に、事務的な作業を終え、午後からは、新しい
プロジェクトのキャスティングや企画を考えはじめた。
この作業は、楽しいけれどアイデアが閃くまでエンド
レス。
こうして、あっという間に時間が経つ。

ふと気がつくと、陽も落ちかけ外が妙に静かだ。
障子を開けて、びっくりした。
雪が降り、薄っすらと路面に積もっている。

こんな雪の黄昏時は、もう仕事なんかしていられない。
業務終了。

こうして、夕餉には少し早いが鍋。
で、酒 。
最高だなぁ。


鍋といっても、湯豆腐でいい。

でも、油揚げは入れたい。
ほうれん草か小松菜あると、なおいいな。
欲を言えば、鶏肉かつくねがあれば文句なし。

出し汁での味付けか、ポン酢で食べるか迷うが、雪だ
から味付けでいくか。
柚子胡椒か、かんずりか、迷うな。

燗酒をちびちびやりながら、鍋を待つ。

障子を開けて外の様子を見てみると、雪がますます強
くなったような気がする。

普段、あまり見ないテレビをつけて観る。
ニュースでは、アナウンサーが、マイクを持ち都心の
どこかの駅の混乱の様子を伝えている。
「あー、寒そう」なんて言いながら、またちびちびと
やる。

そうこうしているうちに、鍋もいい具合になり、火を
弱くして、できたとろから食べはじめる。



大人数じゃなくて、差し向かいの方がいい。
盛り上がらなくていい。
だって、外は雪だから。