第862号『コロナ禍を越えて』

【笹新のしめ鯖】

巣ごもりしてから、あっという間に3週間。
リモートワーク当初は、緊急事態ではあるけれど、
なんとなく非日常のドキドキ・ワクワク感を(不謹
慎な言い方だが)楽しんでいた。

しかし、非日常も続けば日常になる。
そして、したいことが出来ない状態に小さな苛立
ちを感じながら、コロナ以前のあれこれと自由に
出来た事柄を懐かしく、枯渇感さえ覚える。

このパンデミックが収束したら、したいことが幾
つかある。
その中でも、それこそ喉の渇きを癒やすべく、妻
や仲間と連れ立って馴染みの店で一献やりたい。

例えば、関内の「利休庵」で。
例えば、横浜の「大ど根性ホルモン」で。
例えば、自由が丘の「金田」で。
例えば、人形町の「笹新」で。

こうして、お店の名前を列挙して気がついたこと
がある。
それは、どうしても行きたいと思っている、どれも
自分にとって大切にしたいお店ばかりだ。
そして、意識してお店を選別しているということに
も気がついた。

これからは、時間もお金も無駄にしたくない、とい
う気分が以前にも増して強くなった。
このことは、僕にとってこのコロナ禍がもたらした
大きな気分の変化だ。
この気分の変化は、コロナ以後、おそらく多くの人
にとっても、当たり前のことになるのではないか。

翻って、お店側に立てば、裏切らないご贔屓(=リ
ピーター)を、どれだけ大切に保つことができるか
ということである。
厳しい時ほど、応援してくれるお客様との関係性を
築くことができているのか。
こうしたことが、ますます大切な視点になる。
つまり、まずはファンを意識すること。
これまで、訴え続けてきたファンサイトの考え方が
より当たり前になり、お客様にとっても企業やお店
にとっても、その必要性(企業ファンサイトの設置
と運用)がはっきりと意識されるのではないか。

通常に戻った時に、非常時の時に見えた問題点を
しっかりと捉え、大切なことが何だったのかと再認
識することが必須だ。

大きな変化のなかで、多くのメディアやうわさ話
では不安な面ばかりに光が当てられ、直視したく
ない気分になる。

異常時にこそ、真実はある。
だから、この不安のなかに潜む本質に気付き、時
代の流れを考え、本当に大切なことは何かを深く
考えることで、新たな時代に向かうその先が見え
てくるのではないか。