【シーサイドタウン】
毎年恒例のGW期間のお休みをいただき、2週間ぶりの『ファンサイト通信』再開である。
期せずして、コロナ禍でのステイホームと重なり、巣ごもり生活の日々が続いている。
こうした事態のさなかで、あれ?と、感じた事柄を整理してみた。
極めて個人的なことだが、食事中に、ティッシュペーパーをよく使う。
口まわりが汚れるのが厭で、頻繁にペーパーで拭う癖がある。
食事が済む頃には、テーブルには(恥ずかしながら)紙くずが山盛りになる。
コロナ禍の影響で、スーパーの棚からテッシュペーパーもトイレットペーパーも消え、これはなんとかしなければと思案した。
そして、ハンカチーフを使うことにした。
こうして食事後、テーブルに出来たテッシュペーパーの山は無くなり、あっという間に紙の使用量は劇的に減った。
これまでの習慣はなんだったんだ?と思った。
例えば、満員電車に乗ることも致し方ないことと疑わなかったから嫌でも乗っていたが、乗らない生活を体験したことで、なんで満員電車に乗らないといけないんだっけ?と思うようになった。
こうした些細な、あれ?は、たとえこの騒動が終息したとしても、元には戻らないだろう。
それは、理屈ではなく身体感覚が変わったからだ。
そして、もう1つ感じたことがある。
それは、住まいに対するフィット感=居心地の大切さである。
今回のような大きな出来事が起こらない限り、なかなか人の暮らし方や住まいを見直すようなことはしない。
だから、あらためて自分が住んでいる街を散策し、眺めてみた。
横浜市の南端に位置し、海も近く光も風も豊潤に感じる。
加えて、わが国を代表する建築家である槇文彦氏、藤本昌也氏、故・宮脇檀氏、故・内井昭蔵氏、故・神谷宏治氏らによる、極めて斬新で意欲的な住居群とランドスケープを実現し、さらに、街全体のサイン計画を担当したのは、当時ヤマハのバイクのデザインを一手に担っていた(剣持勇率いる)GKインダストリアルデザイン研究所。
単にサインボードや街路灯のデザインをするだけでなく、敷地内の動線計画やゾーニングを意識したデザインが施されている点も魅力だ。
ともすれば、住まいの広さや快適さは二の次で、ともかく立地至上主義的な考え方が当たり前とされてきた。
これからも、変わらない価値感かもしれないが、少なくとも僕はこの街をあらためて誇りに感じ好きになった。
さて、これから益々、対面が不要と判明できる会議や移動時間の削減などは、スリム化が進むだろう。
その一方で、リアルでライブな小さな人間関係は、いまよりもっと貴重で大切なものになる。
実利を伴う合理性と感情の機微に折り合いをつけながら、コロナ後を生きていくことになるだろう。
・商いを必要以上に大きくせず、信頼できる人と関係を築く。
・気に入ったエリアに家と仕事場をおき、人間関係をシンプルにする。
・そうして、気の合う人たちと楽しく、平和に居心地よく暮らす。
コロナ禍での巣ごもり生活は、僕にとってささやかだが、大切なことを再確認させてくれた。