第881号『企業価値を整える』

【金木犀の花言葉は謙虚】

先日、企業サイトのリニューアルを頼まれた。
小さいながらも、地元でユニークな活動を続けている。
これまで、お仕事でのご縁は無かったものの、オーナーとは長らくお付き合いさせていただいている。

なぜ、リニューアルを考えたか?との質問した。
彼は、こんな時期(コロナの影響で売上が下がっている)だからこそ、数年間放置状態だった自社のサイトを見直したいと思った、との答えだった。

企業サイトを組み立てるとき、留意していることがある。

それは、ご依頼をいただいた会社の(企業)活動の目的とは何か?と、問いかけることだ。

なぜ、この会社は存在しているのか?と。

その理由と本質的な意味をとことん突き詰めてみる。
そして、経営していくための正しいあり方、さらに何から順に始めるかの優先順位を考えてみる。

そもそも企業は、社会やコミュニティ、個々人が抱えている問題(=ニーズ)に応えるために存在する。

つまり、企業活動の本質は、社会や個々人の抱える問題を解決することであり、そのことを通して貢献することである。
それが、顧客の満足を実現することになる。
そして、その顧客の満足の実現が結果として売上を生む。
付け加えて言えば、利益は結果であって目的ではない。
利益が企業活動の中心になると顧客に目が向かず、利己的になる。
結果として、会社としての長期的な成長と発展が望めない状況に陥る。

重要なことなので、繰り返す。
企業活動とは、お客様のニーズ(=顧客にとっての価値)を探り当て、商品やサービスを提供することであり、その活動が顧客を創り出していくことになる。

これが、ドラッカーの説いた「事業の目的は顧客の創造である」の意味である。

次に、企業が顧客を創造し続けるための2 つの基本的機能についてである。

それは、マーケティングとイノベーションだ。
マーケティングとは、顧客を起点とした「売れる仕組み」を考えることだ。
先にも触れたが、顧客の問題解決を通して満足を提供する活動である。
自社の商品やサービスを起点にした販売(=セリング)とは逆の考え方だ。
あくまでも売ることではなく、売れる仕組みを考えることである。
次に、なぜイノベーションが必要か?
それは、既に存在する商品やサービスの価値は、日を重ねるたびに陳腐化(=コモディティ化)するからだ。
つまり、企業活動を継続し発展していくためには、顧客の新たな問題を解決し続ける努力が必要だ。
さらに、新しい満足を創造するイノベーションは、社会や人々の未来のあるべき姿を思い描き、顧客のニーズをも創り出していく活動である。

やるべきことは2つ。

「会社の使命とは何か?」を掲げること。
この軸がしっかりとすれば、自ずとブランディングも定まる。
そして、「売れる仕組み=マーケティング」と「新たな商品価値の創造=イノベーション」に強い意志をもって取り組むこと。
この取り組によって、誰に何を提供するかが定まる。

会社の使命を経営者が明確に掲げ、価値観を指し示し、浸透させることが、まさしく社会に存在を許され成長する会社の条件である。
これらのことを経営の原理原則におくと、おのずとその優先順位も定まってくる。

さて、改めて僕が提供すべきこととは何か?
これまで得た知識や経験・技術を梃子にし、ご依頼いただいた会社の企業価値を整え、そしてその価値をサイトの中に埋め込むことである。