第910号『映画を映画館で観たい』

【スクリーン】

もうずいぶんと長いこと外食をしていないと前号で書いたが、映画も、ずいぶんと長いこと映画館で観ていない。
スケジュール帳で確認してみると、役所広司主演・西川美和監督作品『素晴らしき世界』を横浜関内シネマリーンで観たのが4月5日だったから、ほぼ2ヶ月にもなる。

通常なら、月に2,3回のペースで映画館に通っていた。
ところが緊急事態宣言もあって、映画館で映画を観ることが憚れるような雰囲気もあったし、まぁ急がなくてもいいかとDVDやプライムTVでお茶を濁していた。
でもここ数日、映画館で映画を観たいという気分が抑えられず、なんだかうずうずしている。

早速、これから映画館で観たいと思っている新作映画をピックアップしてみた。

□『Mr.ノーバディ』
『ハードコア』のイリヤ・ナイシュラー監督作品。
家庭でも職場でも冴えない平凡な中年オヤジが、ある事件をキッカケに覚醒していくアクションもの。
『ジョン・ウィック』シリーズのデレク・コルスタッドが脚本を担当、これは期待できそうだ。

□『逃げた女』
『夜の浜辺でひとり』のホン・サンス監督作品。
ホン・サンス監督は今作で脚本・編集・音楽も担当し、第70回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最優秀監督賞を受賞した韓国映画。

□『名も無い日』
ドキュメンタリー作品『健さん』や樹木希林の企画だった『エリカ38』の監督、注目の日比遊一監督作品。
監督が実弟を亡くしたときの体験を基に描いた人間ドラマ。
写真家でもある日比監督だけに、明暗や構図が計算された映像美も見どころでは。

□『幸せの答え合わせ』
『グラディエーター』など、アカデミー脚本賞にノミネートされたウィリアム・ニコルソン監督作品。
オスカー女優のアネット・ベニングとビル・ナイが離婚の危機を迎えた熟年夫婦を演じた家族ドラマ。
リチャード・カーティス監督作品『アバウト・タイム』などのビル・ナイのファンとしては必見。

□『るろうに剣心 最終章 The Final』
□『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
『龍馬伝』や『億男』の大友啓史監督作品。
言わずと知れた、シリーズ10年の集大成となる2作。
派手なアクションも期待している。

こんな時だからこそ、ありえないほどの非日常空間を疑似体験させてもらえたり、逆に何気ない暮らしこそが大切だということを静かに語ってくれたり、明日への希望を示してくれる物語を観たい。
いや、いま現在自分が置かれた立ち位置を確認するためにも必要なんだと思う。
そして、映像はもちろんのこと、音や役者の身体の動きなど、その物語世界にまるごと没入できるのが映画だ。
だから、映画を映画館で体感したいのだ。