第1回 「自分とファン」「自分とファンサイト」の関係

出演者

あどば亭音楽(野村 秀之)

あどば亭音楽(野村 秀之)

1963年生まれ 神奈川県藤沢市出身

1987年食品専門商社に入社、1990年広告代理店入社、営業職を経てインターネットプロデュース業務に従事し、ファンサイトの立ち上げに関わる。

ぐるり亭食楽(高原 純一)

ぐるり亭食楽(高原 純一)

1961年生まれ 岡山県岡山市出身

外資系広告代理店を2009年に卒業。 現在は、食から考えるマーケティング会社・食のぐるり株式会社代表取締役。ファンサイト有限会社の取締役。食生活アドバイザー、出汁ソムリエ、日本生産性本部地域活性アドバイザー。

竹馬亭お気楽(伊藤 篤)

竹馬亭お気楽(伊藤 篤)

1966年生まれ ハワイ州カウアイ島出身

ウェブサイトやコンテンツの企画制作に1995年ごろから従事する。 ファンサイト理論とは「極楽クラブ」や某生命保険会社の企画制作などを通じて関わってきた。 現在は、編集者、コピーライター、プランナー、ウクレレ講師として活動するかたわら、「極楽ソング」の公式シンガーとしても人気を集める。

一龍齋友宝(川村 隆一)

一龍齋友宝(川村 隆一)

1952年生まれ 青森県北津軽郡鶴田町出身

1975年日活株式会社入社 その後、日本工学院専門学校専任、VANジャケットの宣伝部から独立した株式会社Cカンパニーなど経て、2002年4月ファンサイト有限会社設立。

ファン杉亭サイ蔵(杉山 直人)

ファン杉亭サイ蔵(杉山 直人)

1965年生まれ 茨城県水戸市出身

1989年キリンシーグラム株式会社入社、のちにキリンビール株式会社に転籍。支社営業6年、本社マーケティングや企画に20年従事。 WEBマーケティングを生業とするため、本年4月よりファンサイト有限会社の一員となる。


— ごあいさつ

ファン杉亭サイ蔵

この度、第1回の友言寄席開催の運びとなりました。司会を務めさせていただきます、ファン杉亭才蔵と申します。以後、よろしくおねがいいたします。

さて、この「友言寄席」で何をしてゆきたいかと言うと、「ファンサイト」の意味や意義を改めて検証してゆきたい。ということです。

「ファンサイト理論」を最初に生み出した3人、一龍齋友宝・あどば亭音楽・竹馬亭お気楽。「ファンサイト」を理解し公私ともに支えてくださる、ぐるり亭食楽。この5人で現在増え続けているファンコミュニティーのサイトやFacebookを「ファンサイト」的視点で勝手に分析・評価してゆきたいと思います。

まず、第1回目は、ファンサイト理論を構築した15年前から今日現在まで、各自がそれぞれの道で実践してきた「自分とファン」「自分とファンサイト」の関係を語りあいたいと思います。


— ファンサイトが求められる時代

一龍齋友宝
『とりあえず15年ファンサイトという会社をやってきて、感じるのは、圧倒的に「ファンサイト」について話す機会が増えたってこと。セミナーに呼ばれることが多くなったし。まあ、理由は世の中から要求されているからなんだろうね。あと企業の「ファンサイト」に対する理解力が上がった。
竹馬亭お気楽
それは環境的なもの?
一龍齋友宝
そう。Facebookも「ファンページ」って言うしね。10数年前にくらべれば、ファンサイトという言葉に対する抵抗がなくなったんだと思う。「ファンサイト」がスムーズに受け入れられて、抵抗がない考え方になった。
あどば亭音楽
つまり、ファンサイトは誰でも作れる。
ファン杉亭サイ蔵
どういう企業・職種・商品・サービスでもファンは実在するからね。
一龍齋友宝
うん、実際に成立させちゃうある種の方程式ができあがってきていると思う。僕らの存在があやうくなるかもしれないね(笑)。そのくらい求められてるし、復元力がある。肌感として感じるよ。
竹馬亭お気楽
隔世の感があるよねえ。昔はそれを実現するためには、ハード面でのハードルがあったけど、今やネットがあたりまえになって環境が変わったからね。テレビをみるような感じで情報消費する。ウェブに対する理解があるので、ファンサイトもわかりやすい感じになっている。
ファン杉亭サイ蔵
「極楽クラブ」を立ち上げた頃はmixiもまだなかったよね。メルマガが注目されてた時代。
竹馬亭お気楽
うん、ブログ前夜。だからコミュニケーションするのは掲示板だった。その頃と比べれば、オンラインコンテンツへの態度が明らかに変わってきている。
あどば亭音楽
確かに十年前と隔世の感があるね。当時は掲示板をやるのもとても勇気がいった。今はウェブが当たり前になって、テレビや紙媒体の様な情報を一方的に発信されることへの反抗みたいなことが、ファンサイトの需要という形で現れてきてるんじゃないかな。

— ファンサイトのコアとは熱とゆる

ぐるり亭食楽
僕は最初、一龍齋友宝さんとは酒飲み友達で、ビジネスの話はあまりしなかった。一緒に仕事をするようになって思ったけど、ファンサイトってファンクションとエモーションの両方を兼ね備えていますよね。いろいろな会社がファンサイトをやっているけれど、一龍齋友宝さんのファンサイトってエモーショナルなんですよね。消費なんだけど、生み出すこともできる。ウェブサイトってツール的に思いがちだけど、マーケティングエンジンとしてもとてもいいです。
竹馬亭お気楽
今の話で思い出した。ファンサイト理論の一番のコアは熱気なんだよね。熱がファンサイトにはあるんだ。
ぐるり亭食楽
こちらから熱をなげるというより、オンオフの境界線上で、みんなで遊ぶときの熱。砂遊びしてだんだんルールが出来て、大きな砂の城ができてくるような感じ。
あどば亭音楽
自宅で酒のみながらファンがサイトを観てくれたら成功だよね。
ファン杉亭サイ蔵
運営する側も、実はそのサイトのいちファンでもあって。
竹馬亭お気楽
なんか同じ時間にみんなサイトにいるんだよね。妙に盛りあがっちゃって、サイト上で「二杯目いっちゃいます!」みたいな。
あどば亭音楽
管理するんじゃなくて、ユーザーと同じスタンスで遊んでいるんだね。
竹馬亭お気楽
そのゆるさって大事な要素だよ。
一龍齋友宝
ファンを「囲い込む」「つなぐ」ではなく、軽くにぎるという感じ。ゆるやかさというか、ゆるゆるとか、そういう関係が大事。ある局面でつながっているだけ、効率とか確立とか離脱率だとか、そういう話しばかりになると、どんどん愛がなくなる、管理になったら愛じゃない。
竹馬亭お気楽
ウェブってすごいニッチなものでもファンをみつけられるよね。アイドルとかも象徴じゃなくて、ファナティック、本当に会える存在になった。「そういういいよね」が見つかりやすい。今はファンを誇示しなくてもよくなったよね。ユーザーの態度がかわった。
ファン杉亭サイ蔵
SNSが無かった昔は、雑誌の友達募集とかでしか、同好者を見つけられなかったよね。
一龍齋友宝
ブランドとかも考え方が変わってきた気がするよ。モノへの近づきかたが違う。ブランドを提供されるのではなく、自分がブランドにしていく。物語を自分で作っていくということだよね。モノとの距離感が昔と違うんだ。
ファン杉亭サイ蔵
昔はブランドを企業がつくって、一定のメディアで届けていたけど、今は消費者がSNSで発信できる。物語も作れる。
竹馬亭お気楽
昔は企業の側にブランドがあったってことだよね。
一龍齋友宝
今はなんだってブランドになれるんだ。その規模を百万人のブランドにするのか、一万人のブランドにするのか、というところが違うだけで。「みんながそのブランドを信じているから安心」という価値が変容したんだ。
あどば亭音楽
僕はとある大企業とマーケティングの仕事をした時に疑問を感じた。商品を月に1回か2回、必ず買ってくれる人をあまり重視してない。大量の広告で売る棚を取るということを重視して、消費者の愛を軽視している。
ファン杉亭サイ蔵
大手流通が強くなりすぎて、商品の回転効率を考えるあまり、商品を選ぶ楽しさ・見つける楽しさも減っているしね。
ぐるり亭食楽
お客さんに直接会うことって重要なんですけどね。フレスタというスーパーは、1品でも毎月売れ続けていれば、その人のために必ず用意するらしいですよ。
ファン杉亭サイ蔵
まさにそういう愛のあるモノ・コトに、ファンが生まれ、ファン同士の交流の受け皿となるファンサイトの存在意義があると思うな。
竹馬亭お気楽
ファンも「参加しているんだ」ということに価値を見出すカルチャーが出来はじめているね。オンラインでコンテンツあるけど、オフラインでもコンテンツを用意する。セミナーとかも、参加することに価値があるわけで。
一龍齋友宝
ファンの人って商品をよく知っているんだよね。ひとに説明できるし、商品の良さを語りたくてしかたない。その商品のどこが自分に刺さっているのかよくわかってる。そういったファンの「好き」は商品説明のベースになるよね。
ファン杉亭サイ蔵
「買うならこれかそれか、でもこっちも好きかも」みたいなゆるい定番が生まれ始めているよね。
竹馬亭お気楽
これくらいがいいよね、みたいなゆるさ。
一龍齋友宝
ファンが商品に近づく過程でストーリーができあがって来るんだよ。それは言葉にするとFanでなくFun。その関係はゆるいようで、実はちゃんと固まった集団なんだ。

— 最後に

寄席一同 寄席一同

第二回目以降は、実際に存在しているファンコミュニティーのサイトを「テーマに共感するFunが集まり、コミュニティーでFun同志の交流が行われ、商品やサービスのFanに進化する仕組みになっているか」を5人がファンサイト的視点で勝手に切り刻んでゆきます。 次月も是非ご高覧いただけると幸いです。