関係の仲間との暑気払いの席でした。ひとわたり近況を交換して話は自ずとマーケティングの話となりました。かといって酒席です。馬鹿話とない交ぜにした会話であるから支離滅裂であることはむろんです。そしてお互いのファッションを見渡しながらおじさんのお洒落の話として一人が切り出しました。とりわけカジュアルファッションについて話に花が咲いた次第。そして結論は永年背広スーツに慣れた世代にはカジュアルは難しいということになりました。
たしかにシニアを対象にしたファッション店や売り場にいってみるといいでしょう。
ブランドモノとか、高級で、価格も結構なカジュル衣料で売り場は整えられているけれど、もしこれら売り場で提案する品々を素直に購入しコーディネートしたら・・・。まさにやくざさんのルックスが出来上がることは間違いありません。
こうした珍現象はどうして起きるのか、考えてみるとデザイナーやMD の心得違いから端を発しているに違いない。つまり買い手の気持ちやカジュルとは何かの本質を理解していないのではないか、と思います。
たしかに高齢者は比較的購買力もあり品質志向でもあります。また権威や権力に近いところにいたせいか傍目をおおいに気にするところもあります。しかし、こうしたものを意識して作られた製品はカジュアルといえるでしょうか?極論すればカジュアルとはフォーマルの逆で、シニアのファッションライフとは180度違うところにある気がします。
したがって売り手の思いとは裏腹に設計思想は「やすい」「気軽」「快適」の3つにつきるはず。またさらに本質論的には反体制的でアナーキーでなければならないと思います。
体型的には決してかっこうよくない(ゴメンネ)が、しかしけっこうお洒落で通っている某氏は、息子さんのお古とディスカウンターの売り場で調達した品とのコーディネートで通しているといいます。
高齢社会はもう現実なのに、売り手は買い手のことを考え市場を見ているのかしら、どうもまだまだファッション坊やたちの幻想を引きずっているのではないのだろうか、ふと思った次第です。