来る3年後には人口がピークに達し、その以後、減り始めるとのこと。高齢化とともに憂鬱なお話です。
あるシンクタンクの推定では、下町のある区に至っては、全年代の人口が流出し、現在の62万人から、30年には43万人に落ち込むとも。
人口減は、いろいろな面で影響が出ると予測されますが、とりわけ商売にとっては縮小につながりかねませんね。例えば鉄道。人口が減れば通勤地獄は、通勤天国になるかもしれないけれど、一方、通勤者が減り郊外にある鉄道沿線の町はゴーストタウン化する恐れがあります。また土地の暴落で都心回帰も進みましょう。
かつて私自身目にしたことですが、バブルで地価が上がり、賑いのあった有名商店街の店主たちは、なまじ店を開けているよりは、地価で稼いだ方が儲かると商売気はダウン。その結果、シャッターを閉めた店だらけの商店街の寂しい光景が全国至る所に出現しました。が、今度は逆、客がいない、人がいないからシャッターを閉めることになりつつあります。こうした少子高齢社会のインパクトとそれにより生じる「縮み志向」の社会は、すでに一部では予測されていたことです。しかし、人間とは愚かなモノで、当時はやや「狼少年」的予測の感もありました。しかし、それがついにと言うか、とうとうと言うべきか、現実の姿となって現われ始めたようです。それでは、どうするか。とりあえず、私たちにできることは、こうした「新しい現実」には、新しい発想で臨むことではないでしょうか。
いってしまえば、いつまでもあると思うな、「市場」と「成長」に覚悟を決めることです。そしてこうした発想を持つことは、決して悪いことばかりではありません。
なぜなら、この覚悟は本格的なモノ経済から、サービス・知識経済へのテイクオフを促進させるエンジンとなりうると思うからです。
かつてどなたかにご教授頂いたことですが、日本の成長は、「なにもない」ことを認めたことから生まれたと言います。
歴史は繰り返す。縮み志向の今後の社会では、マーケターたちは、ゼロに立ち返って、「成長のない」市場での勝ち組みへの道をさがすことかもしれない。でも成長一筋でここまできた人々には馴染めないアプローチかも。