第137回『Thinkingを考える』

景気後退は長引く気配です。
そうした景況の見通しから、企業サイドは経営の引き締めをはじめました。
そしてその中身とは、経費のさらなる削減というのが常套手段です。
この狙いは、結果として雇用不安を背景とした経営側の恫喝であり、それを甘受する従業員側は、上司の覚えをめでたくすることで処世していくことになります。
一方、経営側は、冒険を抑え、昔帰りへ志向していきます。

そして行き着くところは、「出る杭は打たれる」をモットーとした物言わぬ社員と思考停止したトップや自己保身に命を賭けるマネジャーたちが支配する会社です。
もちろんそうした会社では、業者いじめもさらにきびしくなるのは目に見えています。
考えることを止めた組織はつじつま合わせに、問題解決を外部に丸投げすることも多くなり意味のない競争プレゼンも頻発することになりましょう。

しかし、こうしたことでいま起こっていることを乗り切ることができるのでしょうか?
たとえば自動車産業です。自動車が必需品であった昨日までは、良いクルマへ向けての「カイゼン」や効率的なWork Systemは有効であったことは間違いありません。
しかし、「クルマが必要」の前提が崩れたらこうした優位は成り立ちません。
こうした変化に対応するには、どうするか?です。
少なくとも昨日までの「クルマの必要」を白紙撤回して、再度「必要」を創っていくことからはじめねばならないのではないでしょうか?

それには誰がお客様か?何を売っていくべきか?どんな市場なのか?
などなどを、プロダクトライフサイクル理論や競争優位、ニッチ戦略など従来のマーケティング技法に偏した発想とは違った発想で考える=Thinkを常態にできる組織づくりが必要です。
とくに私の知る限りでの企業は現有している「モノ」に依存したプロダクトアウトまたはサービスアウトの考えからは脱却する必要がある気がします。

こうした例として上げたいのが、この度の四川の大地震で派遣された日本の緊急医療隊が現地での活躍が出来なかったばかりか、足手まといになったことが話題になっているニュース。
一方、日本隊より小規模のドイツ医療チームが十分その役割を果たしているのです。
この違いは何か?
一口で言えば現地の事情の把握力と相手のニーズを理解する柔軟な思考力です。

日本隊は、曰く「こちらの想定で治療の現場を描き、それに準じて装備を調えた。
しかし、それは現実と食い違っていた。
今後の救援活動の反省です」と。これは笑う気にもなれません。これでは救助の押しつけです。

が、こうした日本の「無思考」はマーケティングにおいてはさらに増殖している気配が濃厚です。
伝統を押しつける、一流を押しつける、暖簾やブランドを振り回す、技術を自慢する、安さを闇雲に頻発するなどなど、押しつけ例はいくつでも挙げられます。

いま、ファンサイトでは、Thinkingを標榜して自己のサイトをリニュアルしています。
早い話、「Workする前によくThinkしようよ」、というマインドに自らをリセットする決意の宣言です。
ほんとうにThinking集団になれるか?
それはお客様が判断する判断することですが・・・。

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