いまある会社案内制作のコンペのオリエン資料を検証しています。
会社プロフィル、ブランド、製品&サービス、技術力、社会的責任、企業使命、環境配慮、資本金、施設、従業員数、支店網などの企業規模、組織、子会社、関連企業などもれなく盛り込まれているよくあるオリエン資料で、以上のあれやこれやを認知、理解させて欲しい、そんなオリエンの内容です。
なるほど、でもこれってよくある企業案内のステレオタイプ以上のなにものでもないのではありませんか?で、コンペの成果は、見た目の差に過ぎないのは目に見えているのではないか?ふとつむじ曲がりの考えが頭に過ぎったのです。
もちろんいまや90%以上は「見た目」で評価される時代と言われていますから、スマートさ、イメージの良さなど「見た目」を無視してよいわけでは無論ありません。
しかし、です。いまやほとんどがコモディティ化している市場にあっては、競争市場にある新規参入ならいざ知らず、おおよそ企業のアウトラインは、ほとんど認知されているはずです。そうした情報環境ではメッセージ発信のほんとうの目的は、他社との差別を明らかにして、競争優位を導くことにあるはずです。
これは会社案内が想定する読者が販売目的のBtoBやB toCでも、資金、資材調達でも、さらにはリクルートでも同様のはずです。しかし、企業の広報担当の発想は、早い話、会社案内は、企業の独りよがりの情報発信マインドと言えます。
いまコミュニケーション環境は大きく変わってきています。
それは取りも直さず一般的な情報では、どこからででも入手できるし、その情報はほとんど差がないという認識に普及でしょう。わざわざ会社案内である必要がどれほどあるのか?もういちど考えてから発想する時期ではないでしょうか?
また会社案内が果たした役割・・・権威、企業力の誇示など・・・も陳腐化しています。
それではどうするか?一口に言えば「期待感」の創出にひたすら絞り込むことではないでしょうか?
それには「顧客は誰か?」を踏まえること、そして「何が知りたい情報なのか?」を「顧客の立場」で再度検証すべきでしょう。同時に企業はどのような経験を提供しているかを知ることです。
例えば「ブランド」です。確かに製造元の所在と信頼を伝えるモノですが、それがいまや顧客行動のエンジンとはなりにくいし、企業の使命にしても顧客にとっては主張よりは行動にもとづく経験的な実感から得るものではないでしょうか?
良い例が?今夏の洞爺湖サミット。温暖化や食料危機に今後先進国は、どのように動いていくのでしょうか?アジェンダばかりではどうにも先が見えません。
製品説明でも同様です。カメラでもパソコンでもケイタイでも、細かい説明を知って消費者は何の得があるのでしょうか?またそうした知識や蘊蓄は知りたいことなのでしょうか?フツーの人にとってはこれら製品は、ブラックボックスであっていいし、期待した機能がそこなわれなければそれでOKだということです。
企業への態度も同様です。企業への「好き嫌い」は会社案内では培えません。「好き嫌い」で企業からのメッセージは受け止められもし無視されたりもします。
独りよがりを避けるために、私たちはすべては「顧客の経験」からスタートしたいものです。