▼負けないだけでは勝てない?
W杯が終了し、ちょっと気が抜けた日々が続いています。W杯レベルのサッカーを見ると他のエンターテイメントの魅力が褪せてしまったからです。
一つのボールを追いかけてゴールさせる単純とも言えるゲームですが 野獣を思わせるどう猛な者同士がぶつかり合うW杯の迫力には圧倒されましたし、彼らの信じられない身体能力や技には目を奪われました。これをさらに盛り上げたのは大型画面であり、映像技術、音響技術の進歩であることは言うまでもないでしょう。そしてアフリカのエネルギーです。おかげで連夜の寝不足です。
今回のサッカーが教えてくれたこと、それは勝つには、何が必要か?です。そして何よりも痛感したのは「オリジナリティ」の必要性と「リスク」をものともしない勇気です。
相手が強いほど、この2つに徹していけるチームに、勝利の女神は微笑んだと思います。オランダとスペイン戦はまさにその典型でした。
両者は愚直なほど自己のサッカーを繰り返し、引くことなく競い合っていました。
イエローカードの多さがそれを物語っていると思います。
▼びびった試合で勝負を失った民主党
W杯最終日、参院選が行なわれたのなんとも皮肉です。予想通り民主の後退でした。
識者は消費税など敗因の分析で姦しいこの頃ですが、庶民感覚では、皆後付けに過ぎません。要は政権維持に汲々とした選挙への臨み方に失望した結果でしょう。蓮肪氏の一人勝ちを見れば判ります。知名度がある、TVでの露出度が高いことも160万以上の票獲得の一因でしょうが、それ以上に国民を惹きつけたのはメリハリの効いた物言い、明快な役割意識、党派を気にしない意見、そして若さでしょう。選挙結果や派閥・グループを気にしてうじうじした発言をする候補者たちとは余りにも対照的でした。
彼女のことを「きらい」であると評する人も多いようですが、自身を「生意気で嫌われ者」ですと言う彼女には潔さが感じられます。
▼パウル君に負けるな
徒然草には骰子の名人の逸話が載っています。ある人が勝負づよくあるには、何か秘訣があるのか?を尋ねたところ「勝とうとして骰子を振ると負ける。だからいつも負けまいとして骰子を振るよう心がけている」と応えたそうです。この逸話は結果にこだわるなと言う教訓でしょう。
勝つことに終始して、負けることを恐れた勝負は、自由度や驚きがなく、精彩に欠けて面白味もありません。
これはそのままマーケティングに通じます。
成熟、不況、少子高齢などは無難を強いて組織全体が是とする方向に傾きがちです、結果としてびびったマーケティングに帰着されます。
しかし、マーケティングは一方で「気分」を変え、活性化させる役割も担っています。
正しくても心に響かないマーケティングはむしろ迷惑です。
際物ネタですが、いまドイツ水族館の「占い蛸パウル君」が世界一有名な軟体動物として人気です。
彼はカルパッチョに調理されるリスクも厭わず?にドイツ代表の勝負の帰趨を占いすべて的中させました。
翻っていま私たちの生活には、IT、クルマ、ファッション、エンタメ、食などほとんどの分野でヒット商品への後追い、無難な、勝負を避けた「リスク回避姿勢」の商品ばかりが送り込まれています。
そうでなくてもすべてが食傷気味な時代、ドイツ蛸に負けるな、と言いたい・・・です。