アジアカップ準々決勝で敗退した日本代表チーム。
名実ともにチャンピオンという立場でのぞんだ大会で、ベスト8に散ったチームについて、
監督の解任騒動から始まり、新しい戦力の躍動など、話題はつきなかったと思います。
この大会はワールドカップの翌年にスケジュールされているので、
選手選考やモチベーション維持についても実に難しい大会といわれています。
アギーレ監督がザッケローニ監督の遺産で戦っていると揶揄されでも仕方ないでしょうし、
ブラジルで敗れた選手たちが、「代表を引退したい。」と極限まで考えた直後の大会で、
タイトルを防衛しないといけない状況は、相当なものだったでしょう。
ふと今回の出張の旅のおともに選んだ本「通訳日記」の
ちょうど4年前、前回アジアカップのページをピックアップして、先に読んでみました。
4年前の準々決勝は川島選手のミスから失点、苦しい戦いを制して、準決勝進出。
その準決勝も韓国にPK戦で薄氷の勝利をおさめ、決勝戦にコマを進めているのでした。
PK戦では、前の試合での2失点の借りを返すばかりに川島選手が活躍していました。
ベスト8も優勝も紙一重なのだと改めて思うとともに、
No.1になるには、その紙一重のディテールをひとつひとつ正しく重ねていくことが、
重要なのだと考えさせられます。
「すべての障害がわれわれからエネルギーを奪うのではなく、
モチベーションに変わっていった。」ザッケローニ監督の優勝インタビューだそうです。
なるほど、川島選手の退場も香川選手のケガも、ポジティブに変えていったようです。
ついつい、搭乗前に、だいぶ進んでしまい、何度か涙腺が緩み、熱い思いが滾り、
あらためて、ザッケローニ監督の人間力など、選手起用や戦術構築だけでない、
マネジメント業の奥深さと困難さに感銘を受けていました。
ただの“声”でなく、ともに戦った、矢野大輔さんの1397日をともに歩むことで、
ファンとして言葉にできないようなポジティブな思考を授かることができます。
プロローグで彼は、日本代表通訳としての4年間は「人生の宝物になる。」と確信して、
日記をつけることにしたと述べています。
計り知れない緊張感の共有は、確かに人生の宝物ですし、羨ましく思います。
一方で、はたして同様の緊張の中で自分は生きていけるだろうか、とも思うのです。
まさに生きた心地がしないのではないかと。
ただやはり、感動ある人生は、緊張や責任、犠牲のもとに、成り立っているような気がします。
スポーツが感動を呼ぶのは、誤魔化しの効かない真剣勝負だからです。
「自分は日々真剣勝負をしているのだろうか。誤魔化しはないだろうか。」
常に自問自答すべきだと、この類の書籍や、スポーツ選手のコトバから学びます。
いつか、矢野さんが、どこかのチームの監督になり、自らの“声”で、
多くの人に感動と勇気を与えてくれる日がくることを願っています。
ロブソンの通訳からキャリアを始めたモウリーニョのように。