偶然のキッカケで仕事をサポートすることとなった会社の社員旅行。
そこに帯同することとなり、濃密な数日間を過ごしてきました。
「ぜひお越しください。思いっきり楽しんでください。」
従業員でも役員でもないのにご招待いただき、完全にお言葉に甘えた数日間だったのです。
経営者の懐の深さに感服したのは勿論のこと、スタッフの方々と会話し、
見えない絆で結ばれた組織の力を肌で感じ、あらためて「事業は人なり」を実感するのでした。
あまり詳しくは語れませんが、来期で10期目をむかえるこの会社は、
いわゆる営業会社で主としてWEB広告を販売代理しており、
現在では欧州進出を含め、将来を見据えた世界的な市場に目をむける経営をしております。
文字通り「裸一貫」で起業し、事業を継続してきた経営者のここまでの苦労、
孤独さや自分との闘争の歴史は、筆舌に尽くしがたいですが、
ご一緒していると、その経営哲学と道のりを垣間見ることができます。
繊細な心配りと信じる強さ。うまくは表現できませんが、それを感じるのです。
経営陣のスタッフひとりひとりへの心配りは、強いパーソナリティを築きます。
それは上辺だけの優しさではなく、本気に殴りあえる愛情です。
表面だけの人本経営を掲げる企業が多い中で、ときとして体罰をも否定しない情の深さは、
本当の意味でスタッフを守り、ひとりひとりを鍛え上げます。
まさに「獅子の子落とし」。
優しさや愛情を勘違いしないことで「強い個」が形成されていきます。
そして強いパーソナリティの人物は必ず信じる強さを持っています。
何事に対しても限界を設けず、自分の力、その力の成長を信じることで、
すべてを可能にしてきています。
できない無数の理由を排除し、できる数少ない理由を見つけてそこに進むことは、
自分を信じていないとできないし、その信じる根拠は日常の鍛錬からのみ育まれます。
己を信じる者同士は、仲間を信じることができます。強い意志を共有する同志だからです。
当たり前のことですが、信頼は「乱れない組織力」の源です。
「強い個」と「乱れない組織力」という、相反するように思える二つの概念を
同時につくりあげることができることを、優れた経営者は証明しているのです。
ふと、銀行勤めのときのことを思い出しました。
担当企業が、小泉政権時代の規制緩和を追い風に成長し、新興市場に上場していきました。
創業期に若造の僕に何度も頭を下げ、数千万の融資をうけにきた経営者が、
数年後の上場パーティーの場で、僕の前を素通りしました。
感謝してほしかったわけでもありません。でも覚えてほしかったという気持ちはありました。
少なくともその企業の礎を築いたメンバーの一人ではあったわけですから。
今僕は、志の高い素晴らしいSAMURAIたちと同じ空気をすって、苦楽をともにしております。
これから先、良いことばかりではないでしょう。きれいな景色だけではないでしょう。
様々な覚悟を胸に、ベランダからダイヤモンドヘッドを眺めているうちに、
いつしか、銀行勤め時代の寂しい思い出は、ワイキキの波間に消えていました。