2月13日夜からNHKが過激派組織「イスラム国」を
「過激派組織IS=イスラミックステイト(Islamic State)」と伝えることにしました。
この組織が、国家として受け止められないようにすること、
イスラム教について誤解がうまれないようにすることが、その趣旨だということです。
呼称や名前は、「名は体をあらわす」といわれるように、
実際にそのもの自体の本質や実体をあらわすので、
冒頭の例のように、命名を間違えると、様々な誤解すら招くことになりかねません。
メディアは特にこのことを気にせざるを得ないのでしょう。
「合法ハーブ」を「脱法ハーブ」と言い換えたことも記憶に新しいですね。
同じ状態を表していても、表現ひとつで良い印象から悪い印象へと早変わりするわけです。
反対にメディアを意識して、命名するケースも決して少なくなくありません。
1983年から88年まで阪神タイガースでプレーし、85年の日本一に大きく貢献し、
2度の三冠王のタイトルホルダーであるランディ・バース選手は、
本名が、ランディ・ウイリアム・「バス」であるにもかかわらず、
「阪神バス」が球団親会社の阪神電鉄の直営事業だったことから、スポーツ紙等に、
「阪神、バス、大ブレーキ」などの不調を揶揄された見出しを掲載されることを嫌い、
登録名を「バース」にされたのです。
15年ほど前。
それまでは、札束の入ったセカンドバッグを小脇にかかえて地上げをしていた、
柄の悪い中年のイメージだった不動産業者(僕の個人的感想です)が、
ノートPC片手に、業界用語を流暢に話す小奇麗なスーツ姿のイケメン達に、変わりました。
Asset Management=不動産管理業務、inspection=建物調査、Due Diligence=実査・・・
従来からある概念をカタカナに言い換えて、自らをモチベートすることで、
業界のイメージは変わり、不動産取引は活発になり、地価は徐々に上がり始めました。
「senior vice president」という肩書の名刺を持った取引先がバリバリ働いていました。
社名もいろいろです。
入社するにあたり、「○○商会」より英語やラテン語の響きが若者に好まれる傾向があったり、
反対に、古風な社名は伝統や歴史をイメージさせたり、様々です。
ディカプリオの名演でも有名な映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の舞台となる
ストラットン・オークモント社は、投資家相手にペニー株を騙し売る仲介会社で、
伝統ある証券会社の信用力をその名からクライアントに連想させるため、
意味もなくこの社名に決められたそうで、その名は約2億ドルの投資損失を生み出しました。
僕たちの名前もいろいろな意味があったり思いが込められていたりするのでしょう。
命名というくらいですから、名前に命を吹き込むかのようですね。
子供の名前は、様々な思いがこめられてつけられます。
一生の間に何度自分の名を書くのでしょうか。
クレジットカードのサインの都度、思い起こすのも難しいですが、
たまには、名づけの親の様々な思いを回想してもよいかもしれません。
子供たちには、いつか命名への思いや、その頃のできごとを伝えていきたいものです。