Wikipediaなどで有名な、共同で執筆するためのツール「Wiki(ウィキ)」には、一般にWiki記法と呼ばれる簡易なタグ付けのための方法が用意されています。タグは「開き」と「閉じ」がセットになって機能するので、忘れないように閉じタグを入れていくのは結構たいへんです(今時は手書きでする作業ではないでしょうが^^)。Wiki記法を使うと、決められたかんたんな記号を原稿中に入れておくだけで、Wikiエンジンがそれを変換して表示してくれます。見出しや太字などの強調、表組み、URLのリンクなど、一般的なドキュメントに必要な指定がそろっています。
また、このWiki記法と同じアイデアで、簡易な記号/タグ付きのテキストをHTMLやXMLその他のフォーマットに変換してくれるツールがいくつかあります。それらの記法は、たいていはWiki記法とよく似ていて、ほとんど「習得する」ことの必要がないほど単純なもので、手軽に利用できます。たとえばMarkdownは、ウェブ上で日本語の情報が見つかりやすく、日本語の利用者も多そうです(有志によるマニュアルの日本語訳もあります)。
さて、私の場合は、今年の5月ごろからこちらで文章を書かせていただくことになった際に、最終的な原稿をHTMLで用意しようと思い、Asciidocというツールを使って、原稿を整形(HTML化)しています。AsciidocはDocbookというXMLフォーマットに対応しているので、Docbook経由でPDFや電子書籍のフォーマットであるEPUBも作成できるというのが採用の理由でした。
こうした整形ツールのメリットは、共同での執筆や、大量のテキストを処理することで発揮されます。Wikipediaはその良い例です。もちろんこうしたメリットは、個人や少人数で文章を作成する際にも得られるでしょう。また、Wiki記法などの簡易な記号/タグは、文書の構造を定義するというHTMLの思想を汲んでいるので、構成のしっかりした文章を書くようになる、という副作用もあります(^^)。
追伸:
前回まで4回にわたって掲載した「Web Squared(Webの2乗)」の訳文を下記でご覧いただけます。あくまでも私が個人的に訳出したもので、公式なものではありません。また、原文の解釈や訳文の誤りや訳文へのアドバイスなどがありましたら、ぜひご指摘ください。
私訳 Web Squared(Webの2乗)