Espresso Book Machine

本に囲まれて暮らしてます

Espresso Book Machine(EBM)というのはオンデマンドで本を作る印刷機です。300ページの書籍が、わずか4分間で、印刷からカバー付きの製本までできるとか。もちろん、オンデマンドなので1冊から処理できます。(EBMのフォトレポートはこちらにあります。)

このEBMは、Googleが「Googleブック検索(Google Book Search)」(Wikipediaの解説)に採用を決めたことで話題になりました。Googleブック検索に登録された著作物のうち、著作権のないパブリックドメインの資料が利用可能になると報じられています。

電子ブックはGoogleの参入で大きく動き出しましたが、「Googleブック検索訴訟」などまだまだ議論は絶えません。しかし、電子ブックの新しい市場をめぐって、サービスや製品の公開が相次いでいるのが実際です。

日本国内では、Googleブック検索騒動よりもずいぶん以前から、大手出版社などが電子書籍の販売を模索してきました。しかし、既存の枠組みの中で行われてきたそうした試みは、未だ十分に成功しているとは思えません。また、電子ブックをめぐる海外での熱気と、こちらとではかなりの温度差があると感じます。

Springerが行ったアンケート(大学の図書館とその利用者を対象に)では、電子ブックの利用には、紙の書籍とは違った特徴があると指摘して、ひとつの将来像として「5年以内には用途によって印刷版で読みたい書籍と、電子版で利用する書籍というように分かれていくだろうと、多くの回答者が予測」と記しています。同アンケートに「隅々まで読むには印刷版が勝る」という回答があるように、読みやすさの点では紙の書籍に優位があります。ただし、現在の電子ブックがこれからどう進化していくかは未知数です。機能面だけでなく、利用シーンへの創造的な提案が出てくれば、状況はさらに大きく変化するのではないでしょうか。

個人的には、まずはしおりやメモ書きマーカーなど、読書の痕跡が付けられるようになるとよいなあ。それをブラウザと携帯電話などのモバイル端末との間で共有できるとさらによいなあ… しかし、しおりやメモ書きなどは、紙の本でできることの置き換えでしかないので、もっと違った角度からの発想が必要ですね。ある有名な書評家の方が「両手と両足に各1冊ずつで一度に4冊を同時に読むのだ」とおっしゃっていたのを聴いたことがあります。そのときはまさかと思いましたが、案外に、そんな多次元的にする読書というものもこの先可能になるのかもしれません(^^)。

追伸:オフィスの近く(ボストンですが)にもEBMが入っているよとメールをもらいました。

1件のフィードバック

  1. 印刷された本を読む時は、本に厚みというものがあるため、どのくらいの分量をこれから読むのか、全体のどれくらいまで読みすすめているのかが常にわかります。

    電子テキストで名作文庫などを読む時には、どういう長さのものを読み始めたのかわからず、とても不安なものです。気持ちの盛り上げようとか、読む覚悟とか…(W)、意外と、人は本の厚みでいろいろな事を感じ取ったり、読む気持ちをコントロールしたりしているのだということが、わかります。

    というわけで、電子出版に望む事は、厚みに変わる表示があるといいなあと思ったりしています。
    簡単なものであれば、バーがあって、どこまで読んでいるかわかるという表示でもかまいませんし、もっと楽しい、厚みのビジュアルが考えられるかもしれませんね。

    これって、印刷された本にどっぷりはまった世代の感覚なのでしょうか…。