技術について「破壊的」という言葉が使われることがあります。「破壊的技術」や「破壊的イノベーション」など。例えば半導体の登場で真空管が廃れてしまったり、デジタルカメラの登場でフィルムの写真が廃れてしまったりなど。出版業界で言うと、DTP(デスクトップパブリッシング)の登場が破壊的でした。最近なら電子書籍の登場がそれでしょうか。しかしながら、電子書籍は話題にはなるものの、いまひとつハジケない感じがしています。
そんな中で、最近知ったAndrobook(「Androidでガラパゴスじゃない電子書籍を作ってみました」)がおもしろい。「10/10の日曜日に作り始めて、月曜日にモノが動いて、火曜日にサンプルもらって、水曜日にリリースみたいな」スピードで出てきたウェブサービスで、Android携帯用の電子書籍がサクッと作れる。連番で名前(たとえば001.jpg、002.jpg…など)を付けたファイル一式をまとめて1つに圧縮すればよいだけという単純さで、電子書籍がポンとできてしまう。電子書籍はAndroidアプリになっているので、そのままAndroidマーケットで販売することもできます。
Androidアプリの電子書籍というのは、コンテンツとビューア(電子書籍リーダー)が一緒になっているようなもので、つまりAndrobookとはコンテンツにビューアを組み込んでくれるサービス。連番のファイルを用意するだけという割り切りの良さがいいところ。さらに、これが敷居の低いAndroidマーケットと組み合わさることで、電子書籍が手軽に公開、販売できるようになるのです。
出版社などが集まる「非」破壊的な世界とは別のところで、こういうものが出てくるのはおもしろい。また、サービスを公開してすぐに「ブラックジャックによろしく」の作者から問い合わせがあり、とんとん拍子で作品の無料公開に至ったのだとか(「Androbook:本当にブラよろの中の人がアップしましたよ。こんなアプリで大丈夫か?」)。このスピード感もいい。まだまだこれから何かやって(あるいは、やらかして ^^)くれるのではないかと注目しています。