小さなコンテンツの良し悪し

小さなコンテンツの良し悪し

Amaozn.comは今週「Kindle Singles」を発表しました。Kindle(キンドル)というのはAmazonが提供する電子書籍リーダーですが、Kindle Singlesは、Kindle端末向けに販売されるコンテンツの新しい商品カテゴリです。その特徴は、10,000から30,000語程度(英語の場合の例え)の長さで書かれたコンテンツを指していることです。これは雑誌(10,000語以下)と書籍(50,000語以上)の間に位置するコンテンツで、リリースでは「10,000から30,000語(およそ30から90ページの内容)という長さは、画期的なひとつのアイデアを提示するのに適した長さである」と指摘しています。

おもしろかったのは「アイデアや言葉は、それに適した長さにして届けられるべきであり、不自然なマーケティング的な長さのために特定の価格やある形にはめ込まれるべきではない」(Russ Grandinetti, VP, Kindle Content)というコメントでした。

Amazon.comは個人ユーザー向けに出版から販売までが手軽にできるサービス<!––>Digital Text Platform(DTP)<!––>を展開しているが、これとKindle Singlesが組み合わされば、プロアマを問わずさまざまな著者がコンテンツを提供し始めるのではないだろうかと想像されます。たとえば、これまでブログを書いていた個人が、記事をお金に替える手段として利用できるかもしれません。そしてすでにお気づきのように、それもこれもコンテンツの良し悪し次第ですけれどね。

しかし、Kindle Singlesのような小さなコンテンツについて考えていくと、「コンテンツの良し悪し」ということをどうとらえるのかというのはおもしろい問題です。もちろんそれは何をどう売るのかというマーケティング的な問題です。短絡的に雑誌と書籍の間を埋めるものという方向に陥ることなく考えを進めていくと、その先に新しいコンテンツがあるような気がしています。

個人的には、著者/出版社と読者が身近にある小さな市場という発想から考えてみたいと思ったり。でもこれは、「不自然なマーケティング」と揶揄された既存の雑誌/書籍を扱う企業にとっては、魅力的なマーケットとは映らないでしょうね。濡れ手に粟のような儲け話がコロコロころがるようなことにでもなれば、話は別でしょうけれど。