第1016号『手帳の整体師的効能』

記録的な酷暑も去り、10月も半ば。気がつけば、今年も残り4分の1を切った。そろそろ、来年の手帳を準備する時期である。

僕の生活にとって手帳は欠かせない。日々の予定を記録することは当然として、ちょっぴり元気がないときにも、この手帳が役に立つからだ。

手帳には、単に業務予定を記すだけではなく、起床時間、就寝時間、朝昼夜の食事、酒量、体重、血圧、歩数、観た映画と読んだ本など、日々の行動記録をこの一冊に盛り込んでいる。だから、普段はいたってご機嫌に過ごしているのに、なぜか体調が思わしくないとか気分が滅入るなど、いつもと違う症状が現れた時には、数日前の出来事を振りかえるために手帳をめくってみる。余談だが、こうして一目で様々な情報を見ることが出来るのが、アナログ版手帳のいいところでもある。

すると、ここ数日間寝不足だったとか、酒の飲み過ぎや運動不足での体重の増加が明らかだとか(体重が増えると、血圧も確実に上がる)、仕事でのトラブルなど、決まって何からしら要因があることに気付く。問題が突き止められれば、自分なりに観察し、その問題の解や対応策を思案することも容易になる。

この解の導き出し方や対策は、カイロプラクティックや整骨の治療に似ている。調子の良かった時に比べて、歪みのようなものが潜んでいることがわかる。何が多すぎるか何が足りていないかをチェックする。すると、どこがどのくらいズレているかが見えてくる。この歪みを矯正し、良い方向へチューニングを合わせる。

チューニング方法は、調子の良かったころに手帳に書かれた事項をしっかりと読み込む。そして、その時の生活のリズムを思い起こし、その記憶を何回もなぞってみる。こうして徐々に、良いリズムを取り戻す。こうしてみると、いつも傍らにある手帳は、まるで整体師のような役割も担ってくれている。

さて今度の週末、街に出かけてみようか。いつもの文具店の、いつもの棚に並んでいる、いつもの手帳を買い求めるために。

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