会社をはじめてから映画を観ることが多くなった。
いや、ノルマを設定し、観ている。
古い作品でも新しい作品でもかまわない。
何度も観た映画でもよい。
ともかく毎月「今月のベスト3」を決めている。
だから最低でも月に3本は観なければならない。(笑)
今年は何本観ただろう。
日記を捲って数えてみる。
劇場で観るのが一番だが、ビデオやDVDでの作品も含めてではあるが38本だった。
結構、観たつもりだったが、たいした数ではない。
「寺内貫太郎一家」も「ピンクレディ」も「スーパーマリオ」もいない、そんな時代だ。
お客様やスタッフとの会話のなかで、テレビや音楽やゲームで共通の話題を持つことはあまりない。
しかし、いま稀ではなく、映画の話題で盛りあがることはしばしばある。
映画は世代を超え、信条を雲泥することなく語れる。
語ることも聞くことも、映画は社交上の小道具としてではなく、時に気心をありのまま頓着せずに露呈できるコンテンツではないかと思える。
ひょっとすると、映画はこれから新たな共通言語の側面を持つのかもしれない。
それは、映画という装置を通して語られる普遍で不変なテーマを役者が演ずる幾通りもの物語と肉体に、自らの姿を投影しているからではないか。
人は思想や信条を愛するのではなく、自分や他人の内にある心栄えを求めているではないか。
それを「共感」と呼ぶのだ。
洋画編はまたの機会として、今回は今年共感できた邦画映画ベスト3
第3位
「ALWAYS 三丁目の夕日」
昭和33年東京タワー建設の最中、毎日が輝いていた。
「過去という未来」を見事に映画で描いたエンターテインメント。
原作はビックコミックオリジナル連載の西岸良平作「三丁目の夕日」。
監督・脚本・VFXは「リターナー」「鬼武者3オープニングCGムービー」で頭角を現した山崎貴。
第2位
「電車男」
おたくと絶世の美女との出会いという奇を衒ったストーリーである。
あり得べくもない嘘が、さも、まことしやかに語られる。
でもその中身は古典的なラブストーリーが描かれていた。
この映画、じつは「アパートの鍵貸します」のビリー・ワイルダー的な世界なのである。
監督はこれまで「ウォーターボーイ」「東京湾景」などテレビドラマの演出を数多く手がけてきた村上正典氏。
企画は倅、川村元気。
第1位
「パッチギ」
1967年、京都を舞台に繰り広げられる日本と在日朝鮮の高校生の愛と暴力の日々。
そのバックに流れるのはフォーククルセーダスの歌う「イムジン河」。
監督は「ガキ帝国」でデビューし、「ゲロッパ」でその実力を遺憾なく発揮した井筒和幸。
脚本は「ゲロッパ」でも脚本を手がけた、かつての職場の後輩、羽原大介。
どこか、つかこうへいを彷彿とさせるシニカルで自虐的な笑いがなんともいえず、いい味をだしている。
「パッチギ」とはハングル語で「頭突きを食らわす」そして「突き破る、乗り越える」の意。