禍福はあざなえる縄の如し。
先週、この2つの出来事があった。
嬉しい縄は、倅、川村元気が企画・プロデュースした映画「告白」と「悪人」が日本アカデミー賞でしのぎを削るなか、この2作品がほとんどの賞を獲得した。
多くの方から、お祝いの言葉をいただいた。
この場を借りて御礼申し上げたい。
辛い縄は、喧嘩別れした友から送られてきたメール。
彼とは20代からの付き合いで、ことあるごとに遊んだ仲間である。
3年前、友を信頼し仕事を依頼した。
しかし、無様な結果となり、損害を被り破綻した。
僕は会社を守るため、彼を斬った。
もう、二度と会うことはないと思った。
友と仕事はするな。と、しばしば云われるがまさしくその典型だった。
その彼からのメールである。
「雨はまだ降り止まず」、仕事や生活で苦戦している現状を憂いた内容であった。
いまにして思えば、その時起きた問題を見つめず、友の不甲斐なさと裏切りを責め立てていた。
人を責めることでは、問題は解決しないのに。
彼には彼の価値観や正しさがあるだろう。
それを否定してもしかたがない。
むしろ、僕の想像力の無さや、物事を丁寧に考える配慮が欠けていた。
問題の多くは、相手に対する思いやりと敬意の欠落こそが原因となる。
それは、自分の心の中のどこかに、相手を単に利用するだけの存在として、扱っていたからかもしれない。
脈絡もなく、小林一茶の一句が口をついた。
露の世は露の世ながらさりながら
しかし、まだ、友への返信メールは書けていない。