第455号『師死す』

【年男の誕生日に銀座で龍を見た】
【年男の誕生日に銀座で龍を見た】

年の始めに、とても辛く悲しいお知らせから話さなければなりません。
12月28日、病気療養の入院先病院で、心不全のため、弊社顧問、宇田一夫氏が亡くなりました。
享年72歳。
創立当初からファンサイトの顧問として指導いただき、取り分け、僕のマーケティングの師でもあり、まだまだ教えていただきたいことが山のようにありました。

宇田氏との出会いは、20年以上遡ります。
以前の職場で担当していた某住宅メーカーのプランニングに行き詰まっていた時、凄い男がいるよと、知人から紹介されたのがきっかけでした。
プランナーとして一流の男と聞いて、その時なんとなく湧いたイメージ。
細身、眼光鋭く、たばこを燻らし、偏屈な男。
しかして、約束の時間きっかりに現れたのは、イメージとは真逆、白髪で柔和な笑顔の宇田氏でした。

クライアントからのオリエンテーション内容を伝え、抱えているテーマを話しました。
粗方、伝え終えると、静かに、そして少し低い声で話し始めました。
僕のなかで、もやもやしていた問題が、鋭く鮮やかな切り口と、明快なロジックで、瞬く間に、絡み合った糸が解けていくように解決へと導かれました。
表層は柔和だが、問題の本質に迫る言及が、あまりに強烈で、それから時々、用もないのに彼のオフィスにお邪魔しては、酒を飲みならマーケティングにつて教えを請いました。
マーケティングは、科学と経験則に裏付けられた極めて明快なものであるが、それを運用するのは情けなのだと。
教授いただいた中で、いまでも忘れられない言葉があります。

川村君、「目先」ではなく「眼差し」そのものを変えることだよ。
表層ではなく、ものごとの本質に迫ることだ。

これから、宇田氏の教えを自分の眼差しと言葉で、どこまで考え抜きながら、伝えていけるのか。
まだまだ自信はないが、いま一歩、踏み出だそう。
それが、弟子として、師への弔いだから。

合掌。

お知らせ
書き続けていただいて、217回。
宇田氏の、ブログ「花も実もない!Marketing One Hit Shot」が弊社サイトに掲載されています。
これから、このブログを教科書として、何度も再読したいと思います。
マーケティングに関する教えや、人生そのものについて、など、多くの教えが詰まっています。
状況が許す限り、サイトに残したいと思います。
是非、ご講読ください。

2件のフィードバック

  1. 宇田さんの急逝のお知らせを聞いて驚きました。そして、残念です。心から。

    川村隆一さん同様、私も、これからもっとご指導、いただきたかった方でした。

    もっともっとお会いして、あの静かな眼差しと語り口、それでいて峻厳な言葉、コメント。頂きたかったと・・・。実にすばらしい方でした。

    いまは、こころからご冥福をお祈りするのみ。そしていただいたご指導、ご示唆を忘れずに私もこれからまた、チャレンジして行くのみです。心からの感謝とともに。 合 掌。

  2. 信じられません。

    宇田さんのコラム、いつまでも読んでいたかった。

    ファンサイト通信を通じて勝手に私淑していたので、昨年、田中君の結婚式でご挨拶
    させていただいたときの嬉しさは忘れられません。

    川村さんのおっしゃるとおり、このサイトに宇田さんが残された言葉を、これから
    何度も読み返したいと思います。

    ご冥福をお祈りします。

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