恒例の昨年1年間に観た映画のランキングである。
旧作と新作、映画館で観た作品とレンタルDVDでのものが入り交じっている。
去年の1月10日に「息もできない」でスタートし、12月30日「ナイトアンドディ」まで、104本。
メモを頼りに、良いと思えた順に並べてみた。
本来、分ける必要もないが、備忘録でもあるので、わかり易くする意味で、洋画と邦画とにまとめてみた。
今週は洋画篇。
1.「エリックを探して」2009年製作 ケン・ローチ監督作品
これが、去年のNo.1。
2006年製作「麦の穂をゆらす風」で第59回カンヌ国際映画祭で最高賞、パルム・ドールを受賞している。
この作品は喜劇。
親爺たちへの応援歌のような作品。
気が付けば、ラストのシーンで涙を浮かべ拍手をしていた。
2.「息もできない」2008年製作 ヤン・イクチュン監督作品
本作が、監督デビュー1作目。
北野たけしにして、やられたと言わしめた作品。
圧倒的な力技で、本当に息もできない。
そして、やりきれない狂おしさが全編に漲る傑作である。
3.「ブラック・スワン」2010年製作 ダーレン・アロノフスキー監督作品
2008年製作の「レスラー」では、ミッキー・ロークを配し、第65回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
監督とナタリー・ポートマンとの間で、どんな遣り取りがあったのだろう。
ナタリーの追いつめられていく様、その迫真の演技が光る。
4.「ソーシャルネットワーク」2010年製作 ディビット・フィンチャー監督作品
Facebookを創設した、マーク・ザッカーバーグを中心にした群像劇である。
ここで描かれるのは、富と名声の獲得に至るまでの、憎悪と裏切りの人間模様である。
「セブン」「ファイトクラブ」など、人間の暗部を描き続けているディビット・フィンチャー監督ならではの演出が冴える。
5.「フローズン・リバー」2008年製作 コートニー・ハント監督作品
セントローレンス川を挟むカナダとアメリカ国境地帯を舞台に、豊かさを追い求めて、境界に集まる人びとの姿を描いた秀作。
監督のコートニー・ハントはいま最も注目される女性監督のひとり。
長編初監督、初脚本で、いきなりアカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされ、サンダンス映画祭ではグランプリ獲得。
日本では、2010年、シネマライズなど単館系映画館でようやく公開された。
6.「ラビットホール」2010年製作 ジョン・キャメロン・ミッチェル監督作品
派手な装置も演技もない。
しっかりとしたシナリオと、演技力ある役者陣、確かなと演出。
それだけで見応えのある映画に仕上がっている。
ニコール・キッドマンの押さえた演技も見応えがある。
7.「闇の列車光の旅」2009年製作 キャリー・ジョージ・フクナガ監督作品
日系アメリカ人キャリー・ジョージ・フクナガの長編デビュー作。
緻密なストーリーと普遍的なテーマを大胆に組み立てた構成はみごと。
8.「ウィンター・ボーン」2010年製作 デブラ・グラニク監督作品
映画の舞台となるミズーリ州南部オザーク山脈。
ここは、アメリカの中で最白人貧困層、蔑称ヒルビリーが住むエリアである。
なんといってもこの映画のヒロイン、ジェニファー・ローレンスの圧倒的な存在感が秀逸。
ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した「あの日、欲望の大地で」でオーラを感じたが、今回も素晴らしい。
9.「ステイク・ランド」2010年製作 ジム・マイケル監督作品
B級ゾンビものであるが、主人公のしっかりとした成長物語にもなっている。
こうした作品を経て、監督がメジャーデビューすることも。
10.「キック・アス」2010年製作 マシュー・ヴォーン監督作品
荒唐無稽なコミッックヒーローものかと思えば、以外とそうでもない。
新しい何かを感じることができる映画である。
主演のアーロン・ジョンソンは、若き日のジョン・レノンを描いた伝記映画「ノーウェア・ボーイ 邦題:ひとりぼっちのあいつ」2009年製作、でジョンを好演していた。
その他、良かった映画を観た順に並べた。
・「キル・ビル1」クエンティン・タランテーノ監督作品
・「キル・ビル2」 クエンティン・タランテーノ監督作品
・「インセプション」 クリストファー・ノーラン監督作品
・「グロリア」 ジョン・カサヴェテス監督作品
・「モンスター」 パティ・ジェンキンス監督作品
・「日の残り」 ジェームス・マイヴォリー監督作品
・「飛べフェニックス」 ロバート・アルドリッチ監督作品
・「北国の帝王」 ロバート・アルドリッチ監督作品
・「特攻大作戦」 ロバート・アルドリッチ監督作品
・「ロンゲストヤード」 ロバート・アルドリッチ監督作品