なかなか達成できないのだが、年間、100冊読破の目標を掲げている。
ただ、ここにきて、少し変わったことがある。
それは、読んだことのない本だけではなく、再読本もカウントするようになった。
これまで、よほどの理由がないかぎり、一度読んだ本を再び読むということがなかった。
読んだ数や、その時々話題の新刊本に目がいき、読破した本は過去の遺物として書棚の飾りになっていた。
友人でオライリージャパンの編集長、伊藤篤さんに誘われて、朗読の会に参加した。
食をテーマした「お題」での朗読だった。
この時、選んだのが辺見庸の『もの食う人びと』。
これが、再読を意識したきっかけだった。
僕の読書は、読みながら気になった箇所や、頷けるセンテンスに線を引き、丸印や星印のマーカーを残すというスタイルだ。
いやでも、線を引いたところに目が行き『もの食う人びと』を読んだ。
そして、線を引いた箇所をなぞっていくと、なぜその時、自分が重要と感じたのか、そして頷けたのかを思い出した。
続いて、線を引いていないところを読んだ。
なぜ、あまり関心を持てなかったのかと、自問した。
こうして、1回目の読書とはまったく違う読後感を味わった。
「読書百遍義自ら見る」。
確かに、読むこと、知ることの本質を突いている言葉である。
あれやこれやと、雑多に手を出して読むよりも、一冊の名著をじっくりと繰り返し熟読することで、理解の仕方や、ものの見え方が変わる。
再読するということは、過去の自分自身と対話し、新たな気付きを発見することなのだ。
こうして僕は、再読することのおもしろさを知った。
付録、僕の再読ベスト3
第1位 吉野源三郎著 『君たちはどう生きるか』
第2位 山本夏彦著 『完本 文語文』
第3位 辺見庸著 『もの食う人びと』