第608号『友への送辞』

【鎮魂華】
【鎮魂華】

2月1日、友の急死の知らせを受けた。
ボクより8歳下、弟分のような存在だった。
死因は脳梗塞。
仕事場で気分が悪くなり、自分で救急車を呼び、病院に緊急搬送された。
しかし、翌日、帰らぬ人となった。

広告と、酒と、音楽と、家族を、こよなく愛したナイスガイだった。
特に音楽はドラムとボーカルを担当し、その艶のある歌声は、なんとも魅力があ
った。

彼とは、前の職場で同じ釜の飯を食った仲である。
広告・SP・イベント・映像・企業広報など、様々な分野での企画と制作に関わっ
ていた。
毎晩、遅くまで議論し、酒を飲み交わし、とことん仕事をした。

その後、別々の職場に移り、ボクは小さな会社を始め、彼はクリエイティブ・ディ
レクターとして、その力を存分に発揮し、幾つもの賞を獲得していた。
最近では、会うことも少なくなったが、Facebookでのつながりもあり、互いに頑張
っていることを確認していた。

彼の話したことばが耳に残っている。

「広告の仕事で失敗したって、命がなくなる訳じゃない。
だから、失敗を恐れずに馬鹿みたいに楽しく仕事をしないといけないんだ。
そうじゃないとヒトをわくわくさせたり、楽しくさせる広告は生み出せない。
日々、生きることに瀬戸際で頑張っているヒトたちが、少しでも楽しい気持ちになる
ように、ボクらは創ることを全力で楽しまないと」

友への冥福を祈りながら自問してみた。
ボクは、仕事を、人生を、思う存分楽しめているか。

散る桜 残る桜も 散る桜  良寛
合掌。

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