【燃えるような黄昏】
是が非でも、やりたいプロジェクトがあった。
もう駄目かと、ため息混じりにうなだれたことも一度や二度ではない。
しかし、試行錯誤を続け、遂にその仕事を獲得することができた。
今更ながら、何かを成そうとしたとき、最も大事なことは、自らの内側に「熱」があるか
どうかなのだ。
どうしたら成功するのかという技術論ではなく、その「熱度」の総量こそが、成功するか
どうかを分ける最大の要因だと断言することができる。
ふと、飛行一番乗りを競ったライト兄弟とサミュエル・ピエールポント・ラングレーとの
エピソードを思い出した。
当時の飛行機開発は、世界中の発明家や起業家が世界初の動力飛行機を作ろうと、熾烈な
競争を続けていた。
そのレースの先頭にいたのがラングレーだった。
彼は陸軍省から5万ドルの資金を得ていたし、ハーバード大に在籍し、スミソニアン博物館
で働き、当時の最高の頭脳と人材を確保することができるポジションにいた。
まさに、彼は資金と人材にまったく不自由のない環境にいた。
一方、ライト兄弟は自分たちが経営する自転車屋から得られる資金しかなかったし、彼らの
チームには大学を卒業した人材もいなかった。
しかし、成功したのはライト兄弟だった。
では、その成否をわけたものとは何か?
それは、それぞれが持っていた地位や環境ではなく、望んでいたものの違いだったと言われ
ている。
ラングレーは、名誉と富を求めていた。
ライト兄弟は、動力飛行機によって世界を変え、良くしたいという大義と理想と信念のため
に働いた。
ラングレーは、ライト兄弟が成功したと聞くや、チームを解散した。
一番乗りの名誉が叶わないと知ったとき、あっさり止めてしまった。
方や、ライト兄弟のチームの人たちは、夢を信じ、血と汗と涙を流して働いた。
そして、空を飛んだ。
繰り返し、自戒を込めて確認する。
やりたいこと、やらなければいけないこと、やっていること、この3つが同じ方向を向いてい
ると確信できたとき、人は生きがいや使命感が芽生え、幸せを感じるのだ。