【映画パンフレット】
このGWは、アカデミー賞にからむ3作品の映画を楽しんだ。
4月29日
レニー・アブラハムソン監督作品『ルーム』
第88回アカデミー賞:主演女優賞
原作となった「部屋」は今回脚本も手がけたエマ・ドナヒューの手によるもの。
この物語は、オーストリアで実際に起こった監禁事件を基にしたものである。
まずは、主演女優賞を獲得したブリー・ラーソンの創造力あふれる演技に驚いた。
アブラハムソン監督の演出プランと、それを具現化した撮影監督ダニー・コーエンの力量に驚愕した。
ちなみに撮影監督ダニー・コーエンは、『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』でトム・フーバー監督とタッグを組んだ練達である。
子供役のジェイコブ・トレンブレイをはじめ、脇を固める俳優陣も素晴らしい。
5月3日
トム・マッカーシー監督作品『スポットライト』
第88回アカデミー賞:作品賞&脚本賞
本作も、実話に基づくものである。
2002年1月、アメリカ東部の新聞「ボストン・グローブ」紙の一面に掲載されたスキャンダル。
その内容は、地元ボストンで数十人にものぼる神父による児童への性的虐待。
しかも、カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽していたという事実を暴いていく物語である。
トム・マッカーシー監督の緻密な脚本と丁寧な演出が秀逸。
甲乙付けがたい俳優陣の演技力も凄い。
ボクの好きな俳優のひとり、マイケル・キートン。
惜しくも、昨年アカデミー賞主演男優賞は逃したが、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でその存在感あふれる役作りは記憶に新しい。
本作でも、抑えの効いた演技が光っていた。
5月8日
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品『レヴェナント』
第88回アカデミー賞:監督賞&撮影賞&主演男優賞
タイトルの『レヴェナント』は、「黄泉の国から戻った者」を意味する。
レオナルド・ディカプリオ演じるヒュー・グラスは、アメリカ開拓初期に文字通り死の淵から生還した伝説上の人物。
この物語は、息子を殺した男への復讐劇である。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は昨年の『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に続く、2年連続となる監督賞受賞。
撮影監督賞はイニャリトゥ監督の盟友、エマニュエル・ルベツキ。
そして、レオナルド・ディカプリオが遂に悲願の主演男優賞を獲得し大きな話題となった。
ともかく、3時間余の上映中、寒くて痛くて、息を呑む、まさしく映画的な驚きの連続である。
そして、息子を殺した宿敵ジョン・フィッツジェラルド役のトム・ハーディにさらなる可能性を感じだ。
トム・ハーディで思い出したが、昨年観た映画作品の中でピカイチだった、ジョージ・ミラー監督作品『マッドマックス 怒りのディスロード』(トム・ハーディ主演)が第88回アカデミー賞の編集賞・美術賞・音楽録音賞など、部門最多獲得となる作品に選ばれたことも納得のいくものであった。
それにしても、俳優陣、製作陣と後から後から登場してくる層の厚さに、ハリウッドのもつ底力をまざまざと感じた。