第722号『人脈』

【掴めないけど、それは確かにある】

いわゆる名刺交換会的な集まりには、参加しない。

過去に(それも会社を立ち上げた当初)二・三度出たことがある。
一枚でも多く、名刺を集めることが目的となり、気がつけば相手がどんな顔で、
どんな話をしたのかも、曖昧模糊となってしまったという惨憺たる記憶しかない。

こんな有様だから、こうした会合から仕事に発展した経験もない。

当然のことであるが、仕事やチャンスは人との縁なくして生まれるものではない。

これまでも、多くの仕事もチャンスもいつも誰かが運んできてくれたものであり、
自動的に空から降ってきたものでもなければ、地から湧いてきたものでもない。

チャンスを運んでくれる人、つまり人脈づくりとはどうすることなのか?

ボクにとって人脈とは、何人知っているかという数の問題ではなく、どれだけの
信頼関係を持っているかということに尽きる。

親しい友だちが100人いても、仕事に結びつかないことがほとんどだ。
例えば、SNSで繋がっている数が多いことが人脈であると勘違いしている人もい
るが、それは知り合いという、単なる自己満足のためのお飾りを増やしているだ
けに過ぎず、仕事に繋がることなど稀である。

ボクは人脈として一生付き合える相手が、年上に5人、年下に5人いれば十分だと
思っている。

親密と信頼との違いは、似て非なるものである。
親密な関係とは、人として付き合いやすく、好きな相手を指すが、信頼ある関係
とは、人として評価し、信じられる相手を指す。

つまり、人脈とはいかに社会に信用されているかという、一個人としての自分ブ
ランドの評価でもある。