第770号『人生の後半戦を考えてみた』

【愛猫リリー】

最近、気付いたことだが人生の後半戦の問題は、若いときに思い描いて
いたものとはまったく違っていた。

この歳になって、感じたことである。
自分でも信じられないのだが、好きだった本を読むことが(目がチカチ
カするし、忍耐力もなくなってきたようにも感じる)ともかく面倒にな
った。
さらに、昔の仲間と会うことも年々歳々、少なくなっている。
外に出かけるもの面倒だし、まして新しいものにチャレンジするのも厄
介だ。
そう、思いのほか(余裕もあり、俯瞰的に物事を眺めることが出来るの
ではと思っていたが)若いころより、むしろ歳をとってからのほうが、
世界感(視野)が狭くなるという事実に驚いている。

ニュースだったか、雑誌の記事で見たのか忘れたが日本人の平均寿命は、
男性が80.98歳、女性が87.14歳になったという。(2016年 厚生労働
省調べ)

僕自身、気づけば平均寿命に達するまで残り15年ほど。
いよいよ老いのコーナーに入ったということである。

さて、ではどんな老い方がいいのか?
ハウツー本を読めば解決するというような簡単なものでもない。
どんな来し方をしたにしても、死にゆくことには変わらないが、とは言
え、少しでも充実したものにしたい。

僕なりに考えてみた。

他人から見たら何の役にも立たない、馬鹿みたいなことでも、好奇心に
突き動かされて考えたり、動いたりしていると、活力のようなものが溢
れてくる。
そんな対象を見つけられるかどうかがポイント。

幸い僕は、3つの研究テーマを持っている。

1つ目は、(仕事にもなっているが)ファンとは何か?
2つ目は、トライアスロンを高齢者が(人体実験)行うとどうなるか?
3つ目は、リリー(愛猫)と話せるようになるにはどうすればいいか?

好奇心の赴くまま、兎も角も好きなことに取り組む。
すると、昨日まで分からなかったことが分かる面白さを味わえる。
これは、つまり成長している証しであり、続ける価値があるということ
であり、自分にとって生きているという確信でもある。

故中島らも氏は、現在の日本の高齢化社会を20数年も前に看破していた。

平均寿命の伸びと停年の落差も膨大な「空白の時間」を生む。
「教養」のない人間は酒を飲むことくらいしか残されていない、「教養」
とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。

けだし、名言である。

心底、面白いことが好きだ。
まだまだ、酒を飲むことしか出来ない自分ではあるが、少しは「一人で
時間をつぶせる技術」を身に着け、面白い事、面白い物を発見し、面白
い人と出会う人生の旅を、いましばし続けたい。