11月23日、今年最後のマラソンの競技会に出た。
微風、曇り時々晴れ、気温11度、湿度50%、そして10キロを海岸に沿って走った。
驚くほどの距離でもないし、タイムも凡庸なものでしかなかったがレース後、なんともいえない達成感と満足感を味わえた。
それはなにも、レース当日のお天気やコースの景観がいいという訳ばかりではなく、ぼくの小さな夢が実現できたからである。
今年、トライアスロンとマラソンレースへの参加回数は合わせて5回。
とりたてて回数が多いわけでもないが、それでも2,3ヶ月に1回の割合で参加したことになる。
別段、医者から治療のために走ることを義務付けられているのでもなければ、願をかけている訳でもない。
冷静に考えてみると、随分と酔狂なことをよくもまめにしているものだと思う。
この酔狂の手順は、手始めに手ごろな競技会を探してエントリーする。
次に距離を申し出、参加費を払い込み、レース当日は早朝に起き、ランニングシューズとウエアを整え、レースに参加し、そして走る。
所詮、素人のお遊びである。
であるが、この酔狂、いきなりは出来ない。
まずは、自分がレースに参加することを決め、少しばかりのトレーニングと食事の摂り方を考え、それをレース当日まで実行する。
たった1日のレース、そのレースを完走するためのプロセスは数週間、数ヶ月におよびトレーニングをした、という事実の積み重ねが可能にしてくれる。
しかし、現実は練習しなければと思いつつも、打ち合わせや接待を理由に暴飲暴食を重ね、そして自己嫌悪と後悔とをもたらことのほうが多い。
実はこうした自堕落な自分も案外好きだ。が、その対極にある、自制心のある自分も手に入れたい、という願望も内在している。
願望はあっても実現しないかぎりそれは夢でしかない。
では、いかにしてその夢を手に入れることが出来るのか。
クライアントであり、師匠でもあるM氏からその方法を教授いただけた。
そして、その方法を応用してみた。
まずは、レース当日の出来事をイメージし、思い描く。
それも、克明に、自分が着ているウエアや回りの風景、応援している人たちの掛け声や表情、そして颯爽と走りゴールに向かっている自分を。
それは他人が決めたのではなく、自分が決めた目標を実行している自分を発見することでもあった。
だから、想い描いた自分に近づくために、僅かばかりの努力とプライドでトレーニングを少しづつ増やし、積み重ねていく。
しかし、ただこれだけでは夢は実現しない。
この夢はいつ起こるのかという明確な期日を提示して、はじめて有効になる。
こうして11月23日を迎えることができた。
なるほど師匠の教えは正解であった。
曰く「夢とは期限付きの目標のことでもある。」