第854号『本を書く-4』

【GAFA】

日本におけるインターネットの流れを、ざっとお
さらいしてみよう。
1996年ヤフージャパン開業、2000年アマ
ゾンジャパン、グーグル日本語検索サービスなど、
プラットフォーマーのサービスが開始された。
さらに、04年にはミクシィなどブログが、05
年にYouTube、08年にはフェイスブック日本、
ツイッター日本と相次いでサービスが開始され、
同年、iphoneも日本で発売となった。

こうして、個人がネット上で簡単に繋がる仕組み
が次々と登場してきた。
これらの仕組みは強制的に広がったものではない。
当初から使わない人は使わないし、見向きもしな
かった。
しかし、利用することが、利便性であったり、面
白さであったりという理由で、多くの人がインタ
ーネットに時間と労力を割くようになった。

実際にやってみて面白いし、それなりに充実感も
ある。
こうした実感を持つ人たちが増え、その数がある
一定数を超えると、底からうねりのようなものが
沸き起こってきた。
時代の本当の変化とは、こうして起こるもなのだ
と実感した。
また、企業も自社のホームページを持つことが当
たり前になり、結果として、これまでの顧客と企
業の関係性にも変化が現れはじめた。

長らく企業は、広告やCMを通して自社のブランド
メッセージや商品について、消費者とコミュニケ
ーションをしてきた。
それも、ほとんどが外注先の広告代理店や制作会
社に丸投げしていた。
代理店や制作会社は、クライアント企業の意図や
想いを汲み取り、表現や媒体を考えて展開する。
その多くは、企業からの一方的な商品やサービス
の情報を述べ立てているものが、大半だった。
そして、消費者は素直にそれを一方的に拝受して
いた。
それでも時折、一方通行な流れからこぼれたイレ
ギュラーな意見や苦情はコールセンター係に吸い
込まれ、自分たちの手を汚すことなく処理される。
これで一見落着した。

しかし、インターネットがインフラとなり、企業
と消費者が直接、繋がることにさしたる障害がな
くなり、結果としてコミュニケーションをとるこ
とが当たり前になった。

こうした状況のなかで、幾つかの問題も顕在化し
てきている。

例えば、直接ファンの声をうかがえるファンミー
ティングのイベント(こうした催事のお手伝いを
することもあり)で、担当者が自分はあくまで黒
子だからと後ろに下がり、ファンとのコミュニケ
ーションを交わすことを避けている様子をしばし
ば見参する。

企業の担当者は、顧客とどう関係を築けばいいの
か?
どのように対応すればいいのかに、苦慮している。

それは、デジタルマーケティングを担当する現場
でも、本質的には余り変わらないように感じる。
担当者はKGI*(重要目標達成指標)やKPI**(重
要目標評価指標)といった目標指数を持ち、その
達成のため、ウェブ広告を打ち、無料体験を用意
し、ポイントやクーポンを配布して指数を刈り取
る(ウェブマーケティングの現場ではこうした会
話が普通になされている)。
そして、常に数字を見ながら、Plan(計画)→ Do
(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階
(PDCA)を繰り返すことによって、業務を継続的
に改善する。
こうして、潜在客の抽出から見込客・購買客への
流れをつくり対応すればムダも少なく、効率的で
はある。
(クッキーによるターゲティング広告については、
別の機会に言及したい。)

しかし、こうしたポイントやクーポンが購買デー
タを集めるための代償であることに顧客はすでに
気づきはじめている。
そして、冷めてもいる。

そもそも顧客を「指数として刈り取る」という言
い方で括ること事態に違和感を感じる。

もはや、こうした企業本位で一方的な施策では、
早晩続かなくなるだろう。

では、具体的に顧客との関係をどう構築すればい
いのか。

『本を書く-5』へつづく。

KGI*
(Key Goal Indicator)とは「重要目標達成指
標」という意味で、「売上高」「利益率」「成約
数」といった事業活動の最終的な目標や特に重要
な数値が設定される。

KPI**
(Key Performance Indicator)とは、「重要
業績評価指標」や「重要目標評価指標」などと呼
ばれるもので、企業目標の達成度や進捗、プロセ
スを計測したり中間評価したりするための特に重
要な指標として活用される。
例えば「訪問客数」「Webサイトへのアクセス数」
といった、企業の売上や利益に直結する要因を設
定することが一般的である。

BIZ HINTから引用