第869号『オンライントレーニング』

【Zoomで】

4月からのコロナ禍で、スポーツのシーンも様変わりした。

32歳の時、ひょんなキッカケで始めたトライアスロン。
相性がよかったのか、ハマった。
そして、各地で開催されているレースに参加していた。
しかし、50歳で起業し、あまりの忙しさでまったくレースから離れてしまった。

60歳の時、次男が出場していたレースを観戦し、再び火が着いた。
それから毎年、数回レースに参加している。
なかでも5月中旬、横浜で開催される『ITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会』にはここ数年、恒例行事のように参加していた。
当然の成り行きだったが、今年はこの大会も中止となった。
結果、目標を失い日々のトレーニングにも熱が入らない状態が続いた。

そんな気分でいたとき、所属しているYTRI(横浜トライアスロン研究所)の滝川コーチから提案をいただいた。

オンラインでトレーニング再開。
この提案にのり、毎週土曜日17時からZoomでのバイク(自転車)のインターバルトレーニングに参加している。
トレーニングは、YTRIの仲間5,6名と一緒に行う。
所要時間は、およそ1時間30分間。

まずは、リビングルームに2m四方の場所を確保し、防水マットを広げ、さらにバスタオル(トレーニング中、汗が滝のごとく流れるため)を敷く。
そして、バイクのローラー台を置きバイクを固定する。
前輪を固定し、後輪はローラーと接地させスムーズに回転するように調整する。
汗拭き用のスポーツタオルやボトルに水を用意する。
もちろん、服装はバイク用のジャージを着用し、バイクヘルメットもかぶる。
そばで見ている人がいれば、かなりシュールな風情であることは間違いない。
そして、PCをリビングテーブルの上に置き、Zoomで指定されたアドレスから接続し、トレーニングが始まる。
ここまで、30分ほどの時間を要する。
もちろん、片付けもあるので意外と、準備が大変。

さて、コーチから都度ごとにトレーニングの目的や狙いなどについてレクチャクーを受ける。
次に、運動をする前の動的ストレッチを行う。
そして、バイクに跨る。
ここからは、終了までバイクから降りずにトレーニングが続く。

まずは、80から100回転で15分間ペダルを漕ぐ。
10分を過ぎたころから、じわりと額に汗が滲んでくる。
そして、15分間で止まり、30秒休む。
いよいよ、インターバルトレーニングが始まる。

1回、130回転で3分30秒漕ぎ続け30秒休む。
これを3回で1セット。
セット間の休みは90秒で、セットを3回行う。
つまり、ほぼ全力で9回漕ぐ。
この間、Zoom画面の向こうから、「頭がぶれてる、体が揺れすぎている、下を向かないように」等々、コーチの指導の声が飛んでくる。
1セット目はなんとか回転数を維持するも、2セット以降はほとんど、漕ぎ続けることで精一杯の状態になる。
汗が滝のように流れる。
疲れてくると、頭がぶれる、体も揺れる、そして、苦しくなるとどうしても下を向いてしまう。
軽く地獄である。
とても、一人で行えるトレーニングプログラムではない。
仲間とコーチが居てこそである。

一連のトレーニングが終わり、毎回、滝川コーチからの振り返りがある。
この日、印象に残った言葉がある。

「130回転を維持できない、体が揺れすぎない、頭がぶれない、出来ないことは沢山あるとおもう。でも、1つだけ必ず出来ることがある。それは前を向くことです。」
バイクに乗車して下を向くことは、進行方向への目線がズレる、曲がる、ぶつかる等、リスクしかない。

身体的にそして精神的にも、しんどくなると人は下を向いてしまいがちだ。
しかし、「意志さえあれば、顔を上げ前を向くことはできる。」と。
まさしく、そのとおりである。
トレーニングを終え、その開放感も手伝ってかコーチの言葉がストンと腹に落ちた。