第973号『自分ブランド』

僕はブランド信者である。そもそもブランディングとは、他と差別化することである。だからといって形状や価格、宣伝広告などの体裁を取り繕うことで成立するものでもない。お客様はそれほど馬鹿ではない。玉か石かを見分ける目を持っている。

本質的な価値のあるものは売れる。僕自身いろいろと試して、傷にはバンドエイドだし、ランニングシューズならBROOKS、スピーカーはBOSEに落ち着いたし、ステーキを食べるなら大井町のBM、せんべいは岩塚製菓、牛乳は明治のおいしい牛乳を選ぶ。

「味が好き」「カタチがおもしろい」「創業者が尊敬できる」「ほっとする」「これだけのものをよくこの価格で作っているな」・・・など、様々な要素はあるがブランドは信頼の印であり、名前やロゴマークを確認し安心する。

さらに目を凝らしてみれば、ブランドといわれる商品やサービスには共通することがある。それは「約束」。企業がお客様と約束することである。もう少し丁寧に言えば「私達(企業)はお客様に対し、〇〇(提供する価値)を守ることをお約束します」という態度表明である。

これまでも、品質管理・保証などの改ざんや隠蔽といった不祥事で、名だたる企業の経営幹部が謝罪会見する姿を、数多くTV等で見参してきた。これは、顧客との約束を反故にした結果これまで積み重ねたブランドが瓦解する象徴的なシーンでもある。こうしてみるとブランディングの本質とは、顧客との約束を違えていないかと、企業が自らに対しての問いかけ続けることなのだ。

こうした思いを踏まえ、僕も自らがブランドになれるよう仕事をしてきた。

人がブランドになる?人をあたかもモノのように見るのはどうなのか・・・、そう思う方もいるかもしれない。でも、考えてみれば、職人さんや職場でこの仕事は〇〇さんと指名されるスペシャルな方々。世間の評判を大切にし、日々の修行を怠らず、誇りをもち仕事をしている人々こそ、僕が思い描く「自分ブランド」をもった人だ。

お客様との約束を違えていないか、お客様と共に社会にとって少しでもよいものを生み出しているか、自らに対して問いかけ続けたい。

1件のフィードバック

  1. 川村さんの自分への覚悟が、ひしひし伝わります。
    ブログを読んだ自分にも、問いかけられてるようで、
    心地よい緊張を感じながら読みました。

    自分も長らく広告の世界におりますが、
    強いブランドを作るには、時間がすごくかかります。
    自分ブランドも、積み上げることで、少しずつ作られるものだと思っています。
    私も、焦らずじっくりと積み上げていこうと思います。

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