先週、Yahoo!で報じらたニュースを読み、これから数年間に渡るであろうマーケティングの変化の兆しを感じた。以下はその記事の一部である。
”小売り大手イオングループの中核企業で、総合スーパーを展開するイオンリテールは今月、売り場の責任者を務めるパート社員について、同じ業務に就く正社員との待遇差を完全になくす制度を始めた。基本給や手当から賞与(ボーナス)、退職金に至るまで、1時間あたりの支給額を正社員と同じ水準にそろえる。正社員が受け取る退職金や賞与と同等の額をパート社員に支給するのは大企業では異例。人手不足が深刻な小売業界で、非正社員の処遇を引き上げる動きが一段と広がる可能性がある。”
消費行動のもっとも川下にあるGMS(大規模小売店・量販店)の代表格イオンの変化は、とりわけ象徴的に思えた。
原料費や輸送費などのコスト高。さらに、インフレとコロナによる国際間での往来の鈍化、外国人労働者の不足などもあり、大手企業を中心に賃金上昇の流れが強くなっている。特に宿泊や飲食などの小売業を中心にコロナで人を減らした業界は、賃金アップや待遇改善で人を集める必要が出てきている。固定費が高くなる以上、価格に転嫁せざるを得ない。
今後、この動きは止まらないどころかますます加速するし、加えて人口減少も止まらない。こうした流れの先行きを推測すれば、必然的に安さを追求するモデルから、価格以外の何かで勝負する時代へと移行していくことになるだろう。よしんば他社よりも安価であっても、相対的にこれまでよりも価格は上がる。故に、消費行動にブレーキがかかる。これからはそんな時代に入る。では、どこに打開策を見い出せばいいのか?
答えの1つとして、贔屓客・固定客(=ファン客)との関係。これまで一般客との差異(せいぜいポイント還元率の違い程度)をつけずにきた贔屓客・固定客(=ファン客)への見直しと対応をが必須になる。確認ポイントは3つ。いますぐにでも、次の項目をYESかNOでチェックしてほしい。
・自社(商品)のファンは誰か、はっきりと分かっている。
・ファンと自社の商品やサービスの価値を共有できている。
・ファンをえこひいきしている。
もし、1つでもNOと答えた項目があれば、早急に対処する必要がある。
これまで、企業視点で捉え発信することがマーケティングの原理原則だった。例えば、4つのPもその1つである。
・製品(Product)
・価格(Price)
・プロモーション(Promotion)
・流通(Place)
良い製品を、競合他社よりも安く、よりたくさんの人に知らせ、手に取りやすい場所に並べる、と売上が上がる。この4つのPのバランスが良ければ成果が現れると。しかし今や、その実態はかなりかけ離れたものになっている。
・製品(Product)は、コモディティ化した商品ばかりで差別化することが至難。
・価格(Price)は、安売りすることでしか売上をつくれない。
・プロモーション(Promotion)広告等の費用対効果が悪すぎる。
・流通(Place)は、輸送・管理費コストが増大して利益を圧迫している。
これまで定石とされていたものが、ことごとく揺らいでいる。
もはや、これまでの常識では立ち行かない状態なのだ。では、その打開策はあるのか。繰り返すが、その策の1つが「ファンとの関係性の構築」である。2002年ファンサイト創業以来、僕はファンこそが企業を支えると”ファンサイトのすすめ”を啓蒙してきた。では、顧客(=ファン)視点からみたらどんな項目になるのか?
・顧客目線の価値で作られたモノ(Customer Value)
・顧客に分かる透明性のあるコスト(Customer Cost)
・くちコミュニケーション(Communication)
・節度ある資産資源の活用と共有(Common)
営業をしていてよく聞かれることがある。「広告とファンサイトはどう違うの?」と。一言で言うなら広告は「俺ってカッコいいだろう」と大声で叫んでいる姿。それに対しファンサイトはファンから「彼ってカッコいいね」と言ってもらえるように頑張っている姿だと、お答えしている。
4Pから4Cへ。いま次のステージへと変わろうとしている。