連日、35度以上の猛暑日どころか39度超えも珍しくもなくなり、人体に危険なほどの高温が続いている。今夏、この状況は日本だけではなく、北半球全体を熱波が襲っている。こうした中で、国連のグテレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」とまで宣言した。この現象を証明するかのように、アメリカや中国では50度を超える気温が記録され、地中海沿岸では高温のために山火事が頻発している。世界気象機関などは7月が観測史上最高に暑い1カ月となっただけでなく、少なくとも過去120年間で最も暑い月との推定を発表した。こうした一連の報道に、驚きを超え恐怖さえ感じる。
先週末、住まいのある街で夏祭りがあった。コロナ禍を経て、3年ぶりの開催。会場は、小さな入江に面したスーパーや肉屋・食堂・和菓子屋などの小売店が点在する広場。少年野球のグループや町内会の自治会などによる屋台も数店出店している。広場に設けられたステージでは、町内会やフラダンス同好会、さらに近所の高校生たちのグループによる踊りや音楽の演目もあり、久々の賑わいに会場はごった返していた。そんな中、目についたのは子供連れの若いファミリー層。コロナ前に比べ、確実に増えていると感じた。
50年ほど前、横浜市の南端にあるこの集合住宅街は横浜市の一大プロジェクトとして、遠浅の海岸を埋め立てて造成したエリアである。東京から50数キロ離れているが、通勤で通えない距離でもない。海が近く、緑も多い、加えて都心に比べて夏は少し涼しく、冬は少し暖かい。余談だが明治から昭和にかけて、この地には伊藤博文・三条実美・井上馨・松方正義ら政界財界の大物や、鏑木清方・川合玉堂・直木三十五ら文化人たちの別荘も多かった。住むにも子育てにも、好立地。都心では、とてもじゃないが手に届かないマイホームを求めてこの地を選んだ。そうした人々が、現在もおよそ9,600世帯・20,700人以上住んでいる。しかし、ご多分に漏れず年々人口の減少傾向が続き、それと比例して高齢人口が多くなっていた。前述したようにコロナ禍を経て、子育て世代がじわりと増えてきている。これは、嬉しいことである。子どもたちの歓声、若いお父さんやお母さんの溌剌とした笑顔、なにしろ活気がある。こうして、祭り会場内は賑わっている。灯台下暗し、おそらく、ここで育った世代が子育てする立場になり、この街の良さを再認識し回帰している人も多いのではないか。
子どもたちの笑顔と、若いパパとママの声が弾んでいる情景を眺めながら、ふと、想像してみた。10年後、20年後、この街はどんなカタチになっているのだろうか?果たして、この夏祭りは続けられているのだろうか?・・・。日が落ちてきた。さあ、もうすぐ打ち上げ花火が始まる。気持ちのいい潮風も吹いてきた。
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ファンサイト有限会社 代表 川村隆一