第1008号『ポイントは、かっこつけないこと』

先月来、大手中古車販売会社とそれに連なる損保会社の悪行が次々に暴かれ、TVのワイドショーを賑わせている。そして、数十年にわたって作り続けていた企業ブランドが、一気に崩壊していく様を見せつけられている。

ブランドとは何か?ひとことで言えば「他者との約束と信頼」ということである。その中身に分け入り、信頼関係を築くとはどんなことなのか?加えて、自分の信頼預金通帳の口座に残高として今現在どのくらいあるのか?そんなことを考えてみた。

信頼関係は、仕事でも、友だち、家族、夫婦、恋人同士の関係でも最も大切で、かつ重要なことである。そして、組織(企業ブランド)であれ自分自身(自分ブランド)であれ、周りから信頼されるているかどうかで”人生の質”、つまり幸福度に影響するほどに不可欠なものである。

「ボクを信じてよ」「今度だけは本当だから」「俺のことが信じれないのか」と、どんなに言い募っても相手は信じてくれない。その人を根本的に信じられるかどうかとういうのは、その人の言葉ではない。その人がしてきた、これまでの行動である。その人が普段から、言ったことをきちんと実行しているかどうかということ。言葉と行動、言行一致ということである。言ったことは、やる。約束したことは、守る。当たり前のことだが、これが難しい。僕たちは相手との約束を、自分の都合でいい加減にしたり、ないがしろにしてしまうことが、ままある。そして言い訳をし、相手からの信用を失ってしまう。言うは易く行うは難し。事程左様に、約束を守るということはとても難しいことだ。だからこそ、それを心がけていくことが信頼という財産を作ることになる。

たとえ、自分にとっては些細な約束だと思っても、破られた相手にとってはいたく傷つく。だからこそ、気をつけなければならない。「週末、食事に行く約束だったけど、仕事が入っていけなくなった」と約束をキャンセルすることもある。自分(利己的な)の目線で見れば、「仕方がないこと」かもしれない。しかし、相手は「折角、予定を空けていたのに」と、がっかりし失望しているかもしれない。そして、そうしたことが度重なると「結局、私よりも大事なものがあるのだ」と、裏切られた気持ちになるだろう。だからこそ、もしも約束を果たせないときは、十分誠意を持って接することが必須だ。

信頼を築くには、簡単な目標設定を立て自分で決めたことを一つ一つ確実にやり遂げて行く。その結果として「やれば出来る」という自信にも繋がる。どんなに些細な約束であってもそれを果たせば、大きな満足を感じる。取引先でも、友人同士でも、家族間でも、相手との約束をキチンと守るという積み重ねが信頼を生むことになる。

あえてポイントをあげるならば、かっこつけないこと。出来ない約束はしないことが大事。自分をよく見せたい、よく見られたいという心に囚われないこと。誰しも、いい格好をしたい、自分は出来る人間と思われたい、という野心や名誉欲がある。しかし、自分の心を見つめ、振り返る。一度崩れたブランドを再構築することは至難である。だからこそ時間はかかるが、派手なことをするよりも、地道にコツコツと信頼の預金口座を積み上げていくことで、結果として(企業の、自分の、)ブランドが確立されていくことになる。自省を込め「他者との約束と信頼」がブランドなのだと確認した。

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