多くの人が、新たな場で新たな出会いを迎える季節である。こんな時期だからこそ、僕自身の経験を踏まえ、社会人として何が一番大切かと自問してみた。
僕の答えは「約束を守る」こと、である。このことは、他者との関係や仕事といった社会生活を営んでいく上で、最も重要な要素である。家族や友とはもちろんのこと、職場の関係者と交わす約束もお互いの信頼関係の上で成り立っている。だから、約束を破れば信用を失う。そもそも、人はなぜ約束するのか?それは、他者に自分を好きになってもらい、信じてもらいたいから約束するのだ。そしてもう1つ、約束を守ることは、自分自身のブランドを確立するための具体的な行動でもある。
僕はブランド信者である。ブランディングとは、他と差別化することである。そして、本質的な価値のあるものとそうではないものとの違いを指す。僕自身いろいろと試して、傷にはバンドエイドだし、ランニングシューズならBROOKS、スピーカーはBOSEに落ち着いたし、ステーキを食べるなら大井町のBM、せんべいは岩塚製菓、牛乳は明治のおいしい牛乳を選ぶ。
「味が好き」「カタチがおもしろい」「創業者が尊敬できる」「ほっとする」「これだけのものをよくこの価格で作っているな」・・・など、様々な要素はあるがブランドは信頼の印であり、技術力や理念に裏打ちされたネーミングやロゴマークを確認し安心する。さらに目を凝らしてみれば、ブランドといわれる商品やサービスには共通することがある。それは「約束」という重要な要素が含有されている。企業がお客様と約束すること。もう少し丁寧に言えば「私達(企業)はお客様に対し、〇〇(提供する価値)を守ることをお約束します」という態度表明を通して約束している。
すこし前のことだが思い出して欲しい。高級料亭「吉兆」も、乳製品のトップだった「雪印」も、 自動車修理販売の「ビックモーター」も、みんな自らがお客様と約束したこと(例えば製品管理、安全とか安心という)を破った。結果、営々と築き上げた自分たちのブランドが失墜し崩壊した。
大きな約束を守ることは難しいことだが、小さな個人レベルの約束を果たすことは、実のところさらに難しい。仮に、うっかり忘れてしまったとしても、誰もあまり攻め立てることはないだろう。でも、だからこそ、小さな約束こそしっかりと守りたい。心を込めて、小さな約束を果たすことで、自分と相手の間に強い信頼が生まれる。この積み重ねこそが、自分自身のブランドを作ることになる。
誇りを持って自分に与えられた仕事をし、日々の研鑽を怠らず、信頼を築き、商品やサービスを相手に届ける人こそ、僕が思い描く「自分ブランド」をもった人だ。他者との約束を守り、社会人として少しでも良き方向へと進んでいるか、自らに問いかけ続けたい。