瑣末なことで気になることが幾つかある。
ここ数ヶ月、新しい事業の立ち上げのため、大分県別府市に足繁く通っている。
大分までの交通手段は大概、飛行機による。
毎回、ほぼ満杯の乗客は狭いシートに座る。
そして、乗船と同時にフライトアテンダントが目まぐるしく立ち振る舞い、シートベルトや座席の角度の確認や、新聞、飲み物、毛布等々の提供に回る。
そして、アナウンス。
目的までの所要時間、到着時間、天候、安全確認、次々と放送され、続いて同じ内容が英語でと、これもまた延々と続く。
この間、羽田空港から大分空港までの所要時間はわずか80分。
この80分の間、こうしたサービスが本当に必要なのだろうか?
できれば、何もせず、ほっといて欲しいと願う。
恐らく、この航空会社の社長は窮屈な椅子に座ったこともなければ、過剰で余剰なサービスにも遭遇したことがないのであろう。
ついでに運賃のことも追記したい。
大人普通運賃、片道30,300円、往復で60,600円。
往復割引でも片道26,200円、往復52,400円である。
昨年4月、取材で渡米したロスアンゼルスまでの航空運賃が14,500円だった。
一桁間違っているのではない。
間違いなく一万四千五百円である。
友人から譲り受けたものでもなれれば、ダフ屋から購入したものでもない。
勿論、この値段は片道ではなく往復料金であり、しかも立ち席でもなければ、食事やアルコール抜きの料金でもない。
国外の航空会社だったが乗務員の笑顔も応対も座席も食事も良く、すこぶる快適だった。
さらに、瑣末なことを続ける。
日本のホテルや旅館は概ねチェックインが15時か16時と遅く、チェックアウトは10時と早い。
シャワーを浴びたり、準備をしたりといつも急かされる。
その上、禁煙の部屋が極端に少なく、予約しても取れない事の方が多い。
結局、タバコの臭いの染み付いた部屋に一晩押し込められる。
ホテル経営者は自分のホテルに泊まる客のことなど思いもせず、日々過ごしているとしか思えない。
フランスの文化人類学者、レヴィ・ストロースによれば、人間と他の動物を別けることが出来るのは人間が3つの水準で「交換」を行うからだと言及している。
1.「ことば」を交換することにより、言語活動を行う。
2.「女」を交換し、親族組織を作る。
(念のために・・・、私ではなくレヴィ・ストロース氏がそう言っているのです(^^!)
3.「財貨サービス」を交換し経済活動を行う。
「交換」とはコミュニケーションのことである。
つまりサービスの要諦は、客の身になり、いかにコミュニケーションを交わすかにある。
コミュニケーションの欠落。
どうやら、この国でサービスを提供する多くの方々は、いまだ客を「人間」として扱っていないようだ。
しかし、遅かれ早かれサービス業も製造業同様、国際競争にさらされることになるであろう。
そして、もし仮に、このまま瑣末で所在ないサービスを続けているとすれば、いずれ淘汰されることは火を見るよりも明らかである。
ともあれ、一日も早く「人間」扱いされたいと願うばかりである。