第230号『やる気』

【アサヒスーパードライ】
【アサヒスーパードライ】

リーダーが組織の結束を固めようとするのは、自明のことである。

しかし、結束の押しつけは反発も呼び覚ます。
例えば、石原東京都知事は公立の学校で、日の丸掲揚を押し進めようとしている。
一見、正当性があり否定しにくいことであれば、なお更にである。
自分の国を愛し、仲間を守りたいと願う気持ちは、恐らく誰もがもっている。
だから、石原氏の人のインサイト(本音)につけ込む、その手法が野卑に感ずるのだ。

ビールは嗜好性が強く、かつ、移り気な消費者をつなぎ止めておくことの最もやっかいな商品の1つであろう。

その激戦区の中で、アサヒスーパードライが20年目を迎えた。
しかも、ブランド商品として常にトップを走り続けている。
快挙である。

スーパードライの爆発的なヒットの要素は、と問われれば、味の新鮮さや、消費者の嗜好性への対応など、様々に分析することができる。
しかし、要因はそれだけではなさそうだ。

スーパードライ発売前、低迷していたアサヒビールを現在の姿に押し上げたのは樋口広太郎社長である。
その樋口氏の著書「前例がない。だからやる!」を読んだ。

業績が上向き始めると、社長就任前の低迷期にリストラされた500人に復職してもらうことを決意した。
すでに、定年年齢を迎えた人の場合はその子や孫など、3親等までならグループ会社も含め、優先的に採用したしたという。
驚くほどの徹底ぶりである。

樋口氏は続けて、書いている。
「うちは人を大切にする会社だ」そして「みんな一緒になってやり直すんだ」と。

このリーダーの想いが、社内の空気を変えた。
仲間のやる気が、ヒットを生み、20年もの間トップブランドを走り続けることができたのだ。

普段飲むビールはキリンだが、今夜は素晴らしいリーダーとスーパーブランドに敬意を表し、アサヒスーパードライをいただくことにする。
乾杯!

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