第335号『気持ち』

【山中湖ロードレーススタートライン】
【山中湖ロードレーススタートライン】

5月30日日曜日、小雨、気温15度、参加者7,514名。
山中湖一周のロードレースに参加した。

4月に右足人差し指の打撲以来、2ヶ月間まともなトレーニングをしていない。
痛みがぶり返したらどうしよう。
痛みで走れなくなったら、制限時間以内にゴールできるのか。
そもそも練習不足で、最後までスタミナが持つのか。
ネガティブな思いが次から次と心を過る。

9時30分。
些細な悩みを整理できないまま、号砲は鳴った。
走り出す。
ドクドクと心臓が高鳴る。
やばい、最初からキツい。
6キロまでは比較的平坦なコースをなんとか走る。
しかし、この後レース最大の難所、ママの森(山中湖の展望台に向かう場所)から9キロ地点まで、急な勾配が続く。
木々に囲まれた上り坂、はたして登りきれるのか。
不安としんどさで歩きたい衝動にかられる。

こんな時は、顔を前に上げ、ともかく大きく腕を振る。
ふと、前を走るランナーのランニングシャツの背中に書かれた「気持ち」の文字が目に止まった。(最近のランニングシャツには「根性」や、「やるっきゃない!」など、文字が書かれているものがある)

身体的に問題を抱えている人も、表面には見えないが精神的に厳しい状況に置かれている人も、数多く参加しているだろう。
それぞれに事情はある。
それでも、ともあれ今日こうしてスタートラインに立ち、走っているんだ。

森を抜けると、風が吹き抜け、対岸まで見渡せるほど湖が目の前に広がる。
残り、5キロ。
よし!「気持ち」さえ折れなければ、まだまだやれる。

1件のフィードバック

  1. 無事、完走されましたか?
    ランニングは苦手だけど、読んでるとなんだか走りたくなりました。
    終わったあとのビールがおいしそう!

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