もし、生物の原理が、適者生存・弱肉強食のみであったなら、世界はこれほどまでに多様性に満ちてはいなかっただろう。
分子生物学者、福岡伸一氏は続けて言う。
本来、ニッチ(nihe)にはすき間という意味はない。
ニッチとは、巣(nest)と同じ語源を持つ言葉であり、生物学では生態学的地位、すなわち自分の適所という意味である。
長引く不況のなかで消費不振が続く。
特に、総合スーパーや百貨店が苦戦を強いられている。
その一方、売上を伸ばしている企業もある。
カジュアル衣料の「ユニクロ」「しまむら」、インテリア家具の「ニトリ」、靴の「エービーシー・マート」、外食の「餃子の王将」「ハイデイ日高」などである。
共通するポイントは、安さ。
しかし、さらに分け折ってみると、安いだけではない共通項が見えてくる。
1つ目は「ついで買い」。
例えばユニクロならヒートテックの肌着を買うついでにフリースも買う。
餃子の王将なら、餃子のついでにチャーハンも、といった具合である。
2つ目は「製造小売り」。
エービーシー・マートは韓国で、ニトリはベトナムで、ユニクロは中国に製造拠点をもち、且つ、その生産精度を高めている。
3つ目は「大量売り切り」。
しまむら、ニトリ、エービーシー・マートそのどれもが店頭でのお客様の動向に併せ、タイミングよく大量に販売し、余分な在庫を持たない。
適所生存。
自らの守備範囲を知り、それを強みに変えている。
ほとんど、すべての生物は、自分の生活空間を限定し、食べるものを限定している。
ニッチを持ち、ニッチを守っている。
そのことによって、できるだけ他の生き物たちとの競争を避け、棲み分けを行っているのだ。
その専門性に特化し生き抜くこと。
つまり、それが生存するためのもっとも合理的な方法でもあるからだ。
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