第662号『鈍刀を磨く』

IMG_7045s【あじさいの季節】

2つ程、夏前には動き出すはずの新規プロジェクトが止まったままだ。
動かない原因はどこにあるのかと考えているうちに、自分の欠点ばかりが目についてくる。
なぜ、スパっと仕切れないのか。
まるで、鈍った刀のような己の能力のなさを恨めしく思う。

当然、当てにしていた資金運用もとたんに苦しくなる。
息苦しい気分になってくる。
弱小零細ゆえの悩みでもある。
でも、簡単には折れない。
これまでも、幾多の強風や荒波を凌いできた故の強さもある。

状況は刻々と変わる。
だから、こんな時は、あまりジタバタせず自分磨きをするに限る。

例えば、手をつけていなかった本を読む。
例えば、使っていない衣類や古いハウツー本を処分する。
例えば、紺屋の白袴状態の自社サイトを見直してみる。
例えば、仕舞い込んでいた企画を引っ張りだし、提案できるものに仕上げる。
例えば、社員一人ひとりとじっくりと話をする。
例えば、少し疎遠になっていた仲間に声を掛け、酒を飲み交わす。
例えば、坂村真民の詩『鈍刀を磨く』を声に出して読んでみる。

『鈍刀を磨く』

鈍刀をいくら磨いても

無駄なことだというが

何もそんなことばに

耳を貸す必要はない

せっせと磨くのだ

刀は光らないかも知れないが

磨く本人が変わってくる

つまり刀がすまぬすまぬと言いながら

磨く本人を光るものにしてくれるのだ

そこが深甚微妙の世界だ

だからせっせと磨くのだ

坂村 真民 著『詩集 念ずれば花ひらく』より

ボクは深呼吸をし、もう一度ゆっくりと読み返してみた。

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