【テキスト】
先週、蒲田にある日本工学院専門学校、デザインカレッジグラフィックデザイン
科の専任から、今年も4月からの講義をお願いしたいとのメールをいただいた。
喜んでお引き受けした。
講座内容は、新1年生を対象にした「デザイナーのためのマーケティング基礎」
ここ数年、高校の授業に美術がなかったり、あったとしても多くの学生にとって
デザインという領域は美術の一環という認識が当たり前。
まさかデザインが、経済や心理学と密接に繋がり、科学的な要素も内包している
ことを知る由もない、といった状態の学生がほとんど。
前半の講義では、まず数回にわたり発想マインドを養うための実習と演習を用意
している。
例えば、初回の授業のテーマ。
「キョロキョロしよう・・・観る」
乗り物は人の宝庫、観察の場として電車は最高。
偶然座った向こう側の人を観察してみる。
どんな「生活」をしている人だろうか?
年齢は?職業は?家庭環境は?部屋の様子は?性格は?恋愛歴は?趣味は?いま
欲しいと思っているものは?・・・その人になりきって想像してみましょう。
想像力を養うために、ボク自身、いまだに実践している方法の1つである。
相手はいま、何を考えているのか?
いま、なにを感じているのか?
そして、もしこのアイデアを実行したらどうなるだろうか?と。
例えば、ある商品を、電車で向かいに座っている人が、どんなお店でだったら買
ってくれるだろう?
例えば、使ってみた後にどんな変化が起こるだろうか?
絵空事のような空想がいつの間にか、成功した場合も失敗した場面も想像してみ
ることで、立体的でリアルな感情が湧き起こる。
クリエイティブの入り口はまず、想像することからはじまる。
こうして、とことん想像することで、はじめて創造的な組み立てをすることが出
来るのだ。
この春、このカリキュラムを通して新しい才能に出会えることが、いまから楽し
みだ。